...藥局生は匙を持つた儘中に入つてゆく...
石川啄木 「鳥影」
...起きて朝飯を食ふと飛び出した儘...
石川啄木 「病院の窓」
...兩足(りやうあし)を縮(ちゞ)めた儘(まゝ)...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...しかし我儘(わがまま)で勝気な妻には...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...我儘な私は気乗しないので書かなかつた...
種田山頭火 「一草庵日記」
...馬の気儘に引かせながら...
豊島与志雄 「狐火」
...ともかく史料をその儘書いた方がよいといふのが明史の出來る頃までの論である...
内藤湖南 「支那史學史概要」
...あせりにあせつた揚句やうやく胃袋に落付いたといふ鹽梅にずうつと首を延長した儘しばらくは立つて居る...
長塚節 「栗毛虫」
...心の遠慮のとれた間柄になつてからはおいよさんに我儘な所もあつた...
長塚節 「隣室の客」
...装置一号B 十二時までに保存用結晶作成、十二時スタート、一時核出現、その儘無人放置、二時半電流〇・八A、三時半までに急激に結晶を生長させる...
中谷宇吉郎 「雪今昔物語」
...云つて来(き)ました」四の三代助は椅子に腰(こし)を掛(か)けた儘...
夏目漱石 「それから」
...聲をかけても誰一人居ないので其儘進むと...
沼井鐵太郎 「黒岩山を探る」
...しかも同時にその圭介その儘でないもっと別な人のような気がして来た...
堀辰雄 「菜穂子」
...」二人は手を取り合つた儘...
牧野信一 「心配な写真」
...其の儘帽子も脱がず...
牧野信一 「清一の写生旅行」
...けれども私の説明をその儘論文の中へ書き込むのは偽りのない所であった...
松永延造 「職工と微笑」
...夢では何事も意の儘に出來る...
松本文三郎 「世界に於ける印度」
...しかしその結果、どこかで使われたメロディが、他の歌にちょいちょい出て来ます(これはあなたも既にお気づきでしょうが)それはそうなるべきで、人間の声に限度があり、テンポにも制限があるとすれば、いつかは作曲も、殊に流行歌なんてものはメロディが割に単純なもんだから、じきに種切れになるわけじゃないでしょうか、だから、流行歌のようなものには、他で一度ヒットしたメロディが、屡々(しばしば)、編曲という名で現われたり、或はその一部が使われたり、甚(はなはだ)しいのになると、その儘(まま)、又はテンポだけ違えて新しいもののように、使われたりしてしまうのです...
蘭郁二郎 「腐った蜉蝣」
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