...しかし他を云々するのは僣越(せんえつ)である...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...お袋の腹の中が梅毒(かさ)腐れで……俺の眼を見てくれ……沢庵(たくあん)と味噌汁(みそしる)だけで育ち上った人間……が僣越ならけだものでもいい...
有島武郎 「星座」
...はなはだ僣越のようですが...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...僣越ながら私は判断するのですが...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...私などは僣越にも日本の思潮が根柢から変つたなどゝ思つた...
田山録弥 「雨の日に」
...これほど無意味な僣越な無知な言葉はあるまいと私は思ふ...
田山録弥 「現代と旋廻軸」
...また僣越にも私が何人かに困難と思はれるであらう一切のことがらを豫見し得ると私は確信しないのであるからして...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...自分のような門外漢がこの講座のこの特殊項目に筆を染めるという僣越(せんえつ)をあえてするに至った因縁について一言しておきたいと思う...
寺田寅彦 「映画芸術」
...105年まだ若き彼の子ら驕慢にして信を缺く――その僣越のわざによりヂュウスの誓破ること無からんためぞ――年少の心は常に定らず...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...われわれ一同なんて僣越なことはよしてもらおう』だが...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...(さういふ仮定をするのは僣越だと考へる人があるなら...
平林初之輔 「諸家の芸術価値理論の批判」
...従つて政治的価値のなくなつた作品に芸術的価値を認めるのはやゝ僣越的誇大であると氏は叱正されるのである...
平林初之輔 「諸家の芸術価値理論の批判」
...自分は何も知らない癖して僕たちみたいな悧巧(りかう)な者に物を教へようとするのは僣越だつて彼奴(あいつ)に云つてきかせたつけ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...茶樹の花序自分で大発見などとほざくのは、世間さまを憚らず、分際を弁えぬ大たわけ、僣越至極、沙汰の限りだと叱られるのは必定であるが、今心臓強くこれをがなるのは、そこに「事実」という犯し難い真理があるからである...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...これを大発見と誇唱してもなんの僣越にもなりはしない...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...芸術の事に専念するために味わなければならぬ少しばかりの不自由を苦難などと言うのは僣越の限りであろう...
三好十郎 「俳優への手紙」
...今日においては非常に僣越だと思ふのである...
吉川英治 「折々の記」
...思うに彼において僣越であるとは考えられないであろう...
デイヴィド・リカアドウ David Ricardo 吉田秀夫訳 「経済学及び課税の諸原理」
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