...大きい弓なりのピアノの音に熱心に耳を傾けてゐました...
芥川龍之介 「河童」
...バルタザアルは此塔の建築に父王の全財宝を傾けたのであつた...
アナトール・フランス Anatole France 芥川龍之介訳 「バルタザアル」
...小苦面(こくめん)に首を傾げて聞いてゐたが...
石川啄木 「赤痢」
...ちょいと小首を傾げ...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「魂の喘ぎ」
...自分の乗って帰った船を踏(ふ)み傾(かたむ)けて...
鈴木三重吉 「古事記物語」
...傾聴しなければならなかった...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...「込んだ車はますます込むような傾向をもつ」という結論にはたいした誤謬(ごびゅう)はないはずである...
寺田寅彦 「電車の混雑について」
...誠に憂慮に耐えない傾向と云わねばならぬ...
戸坂潤 「社会時評」
...つとめて舊文を墨守する方向に傾き...
内藤湖南 「支那古典學の研究法に就きて」
...カ・ガと混同する傾向が古くからあり...
橋本進吉 「国語音韻の変遷」
...いはば薄利多売的傾向をもつてゐるので案外の金になるさうである...
北條民雄 「癩院記録」
...師を思う情の切なるこの門弟子(もんていし)の熱心なる勧誘の言葉に耳を傾けておったが...
穂積陳重 「法窓夜話」
...そのやうな傾向があなたにとつて良いものであるか否か...
堀辰雄 「室生さんへの手紙」
...彼は空々しく首を傾けたのである...
牧野信一 「「或る日の運動」の続き」
...この色ごとと酒の修業にどんだけ精魂を傾けて来たかと言う事をだねえ...
三好十郎 「廃墟(一幕)」
...自分の友人が何人も住んでいる小石川傾城(けいせい)ヶ窪のごときは...
柳田國男 「地名の研究」
...朝日がぎら/\と雪の峰、雪の谿間を照り付けると、薄紅の絹地を張つたやうになり、日が傾いて、西の嶽に沒してしまふとその後の東の峰の色はうす紫に茫つと霞がかつたやうで、それに、向つて凝乎と立つてゐると、道の上を一人の通つて行く者もなく、流の音もなく、うす紫の山は次第に暗色を交へて、前へ前へと迫り出して來るやうであつた...
吉江喬松 「山岳美觀」
...酒を飮みながら二人の退職者とマダム・トレソルウルとが氷島についての話をしてゐるのにふと耳を傾けてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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