...広漠(こうばく)としてロシアの田園を偲(しの)ばしむる大原野...
石川啄木 「初めて見たる小樽」
...むこうの座敷からは三味線の音が流れて来るといったちょっと内地を偲ばせるものがあった...
上村松園 「余齢初旅」
...管絃の道にも秀(ひい)でゝいたことが偲(しの)ばれるのである...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...そういうところにも露伴先生らしい風格が偲ばれるような気がする...
中谷宇吉郎 「露伴先生と科学」
...ありし世を偲(しの)ばしむるの具となるに過ぎない...
夏目漱石 「倫敦塔」
...などと一念昔の親しき友情を偲んでいる中に...
新渡戸稲造 「イエスキリストの友誼」
...大方から演者の話風を偲ぶよしなしとされている...
正岡容 「我が圓朝研究」
...眞に偉人を偉人として偲ばせるものだと自分は考へる...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...涼しい水音を偲(しの)ばせる売り声を競(きそ)う後からだらりと白く乾いた舌を垂らして犬がさも肉体を持て余したようについて行く...
水上滝太郎 「山の手の子」
...今の峯子に抵抗しがたい思いで正二を偲ばせた...
「今朝の雪」
...川中島の古戦場でこの国を偲(しの)ぶでしょう...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...ということが一段と昔を偲(しの)ばしめたのである...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...在らぬ主の俤(おもかげ)を哀れに偲(しの)ばせた...
山下利三郎 「誘拐者」
...その人の趣味が偲ばれた明治の中頃...
山本笑月 「明治世相百話」
...さらに輪をかけた変化の跡が偲ばれる...
山本笑月 「明治世相百話」
...ベニスの商人の豊かな日を偲ばしめる...
横光利一 「欧洲紀行」
...神功皇后(じんぐうこうごう)さまの挙を今日より偲(しの)び奉っても...
吉川英治 「新書太閤記」
...亡き人を偲んでのことに違いないと私は思った...
J. S. レ・ファニュ J.S.Le Fanu The Creative CAT 訳 「ドラムガニョールの白い猫」
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