...江戸の昔を偲(しの)ばせるような遠三味線(とおじゃみせん)の音(ね)を聞きながら...
芥川龍之介 「開化の良人」
...昔はさこそと偲(しの)ばるるが一(ひ)い二(ふ)ウ三(み)いと数うるに勝(た)えず...
泉鏡花 「活人形」
...当時を思い偲ばせるように消え残っていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...私は實はそれによつてありし日の先生をしめやかに偲びたかつたのであるが...
相馬御風 「獨愁」
...東海道五十三次の昔の旅を偲(しの)ぶとき...
高神覚昇 「般若心経講義」
...せめて彼女を偲(しの)ぶよすがに...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...近くば維新当時の江戸幕府の末路を偲(しの)ぶ光景です...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...現役兵の話を聞いて昔を偲(しの)ぶごとくに...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...いかにもこの日記に向はれてゐる貴方自身の靜かな姿を私に偲ばせてくれましたが...
堀辰雄 「七つの手紙」
...涼しい水音を偲(しの)ばせる売り声を競(きそ)う後からだらりと白く乾いた舌を垂らして犬がさも肉体を持て余したようについて行く...
水上滝太郎 「山の手の子」
...その人の話から偲んだことである...
柳田国男 「故郷七十年」
...みるからに荒仕事をしてきた過去の生活を偲(しの)ばせるようであった...
山本周五郎 「麦藁帽子」
...ベニスの商人の豊かな日を偲ばしめる...
横光利一 「欧洲紀行」
...消燈天国薄暮になると戸部の西洋牢時代を偲(しの)ばせる遺物の鐘が...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...誰を偲(しの)んでいるのだろうか...
吉川英治 「新書太閤記」
...――そのお胸のうちを偲(しの)びますと...
吉川英治 「親鸞」
...夜逃げ同様に落ちたという慶喜公の姿を偲(しの)んで眼をしばたたいた...
吉川英治 「松のや露八」
...フト郷里(くに)の荒果てた畑を偲い出しながらぐんぐん墜落する西日の中に...
蘭郁二郎 「魔像」
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