...あの相乗俥(あいのりぐるま)の中に乗っていた...
芥川龍之介 「開化の良人」
...ぢや手紙が着いたんですね?』と親げな口を利いたが、些(ちよい)と俯向加減にして立つてゐる智恵子の方を偸視(ぬす)んで、『失礼しました、俥の上で...
石川啄木 「鳥影」
...と俥(くるま)の上(うへ)で...
泉鏡太郎 「麻を刈る」
...古河から俥でアクト新田渡船場へでて思川を渡った...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...俥夫弥三吉はなじみの客が今日はいかなる大事に赴くか知るよしもなく...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...俥の上で遠くから覗(のぞ)き込むようにすると...
谷崎潤一郎 「秘密」
...ところどころは俥を下りて...
近松秋江 「伊賀、伊勢路」
...お庄はそこへ俥をおいて...
徳田秋声 「足迹」
...俥の柁棒(かじぼう)が持ち上げられた時...
徳田秋声 「足迹」
...あなた風の重みが俥の幌に乗(の)しかかって来るのが乗ってて分ったでしょう...
夏目漱石 「行人」
...彼は家の外に出て俥(くるま)の姿を待った...
原民喜 「美しき死の岸に」
...その手紙の終りの方には、お前が出發するとき、俥の上から、彼の方を見つめながら、今にも泣き出しさうな顏をしたことが、まるで田園小説のエピロオグのやうに書かれてあつたから...
堀辰雄 「麥藁帽子」
...「俥か自動車があるんでせう...
牧野信一 「山を越えて」
...晝間だけ病家まはりを雇俥でするらしく...
水野仙子 「四十餘日」
...俥(くるま)のゴム輪が砂まじりの路を心持よく行った...
宮本百合子 「明るい海浜」
...法被を脱ぎて帰るさ同見附駐在所にて呼び止められ『何故(なぜ)に毛布を垂らして俥の番号を隠しいるや』と叱責され謝罪して帰りたる由...
夢野久作 「暗黒公使」
...醫者の俥が絶えず降ろされてゐたのを思ひ出した...
横光利一 「草の中」
...俥(くるま)に乗っているのもらくではなかった...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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