...往年の丸丸と肥つてゐた俤(おもかげ)は...
芥川龍之介 「酒虫」
...何処か俤(おもかげ)の肖通(にかよ)つた...
石川啄木 「鳥影」
...俤(おもかげ)の如く宿したのは...
泉鏡花 「霰ふる」
...大慈(だいじ)の楊柳(やうりう)の俤(おもかげ)があつた...
泉鏡太郎 「十六夜」
...その紫の俤(おもかげ)が...
泉鏡花 「縁結び」
...また強く亡き人の俤(おもかげ)を思い出さずにいられなかった...
伊藤左千夫 「奈々子」
...噫(ああ)けふもなほ俤(おもかげ)にして浮びこそすれ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...どうか私達を守って下さい」私は心の中の懐しい彼女の俤(おもかげ)に祈った...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...何処かに戦場往来の俤を留めているものだのに...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...李陵がかつての移中厩監(いちゅうきゅうかん)蘇子卿(そしけい)の俤(おもかげ)を見出してからも...
中島敦 「李陵」
...彼等(かれら)は殆(ほとん)ど冷却(れいきやく)しようとしつゝある肉體(にくたい)の孰(いづ)れの部分(ぶぶん)かに失(うしな)はれんとしてほつちりと其(その)俤(おもかげ)を止(と)めて居(ゐ)た青春(せいしゆん)の血液(けつえき)の一滴(てき)が俄(にはか)に沸(わ)いて彼等(かれら)の全體(ぜんたい)を支配(しはい)し且(かつ)活動(くわつどう)せしめたかと思(おも)ふやうに...
長塚節 「土」
...金三郎は娘の顔に母親の昔の俤を見出(みいだ)して...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...生みの母の俤(おもかげ)を...
長谷川伸 「瞼の母 二幕六場」
...逢わねえ昔のおッかさんの俤(おもかげ)が出てくるんだ――それでいいんだ...
長谷川伸 「瞼の母 二幕六場」
...竜太郎の心の上に、あの少女の俤が、影と光を伴って、また生々と甦ってくる...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...霧積の泡盛草の俤の見ゆれど既にうら枯れぬらん霧積温泉で見た泡盛草の白い花がふと目に浮んで来た...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...或は作者の俤が裸で躍る様な感じが四五両句に感ぜられる...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...それでもまだどうにかこうにか廻転しながら昔の俤(おもかげ)をとどめているのを目に入れますと...
堀辰雄 「朴の咲く頃」
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