...神将のような俤(おもかげ)とは...
芥川龍之介 「邪宗門」
...換言すれば神の俤を見る...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...自分はありありと亡き人の俤(おもかげ)が目に浮かぶ...
伊藤左千夫 「奈々子」
...左右の矢大臣もそれと許りほのかに俤が見える...
伊藤左千夫 「八幡の森」
...私がそのニールゼン嬢の俤(おもかげ)を思い出したと言ったならば...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...ソノ俤ヲ心ニ浮カベテ...
谷崎潤一郎 「瘋癲老人日記」
...西方浄土の俤を僅かに伝へて居るところは...
谷崎潤一郎 「二人の稚児」
...今は昔日の俤はないが...
田畑修一郎 「出雲鉄と安来節」
...舊師の俤を偲びつゝ中學校の話から初まつてそれからそれへと聯想をつゞけての思ひ出話に花を咲かせてたのしい事であつた...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...動物愛護を實地に教へてくれた慈母の俤を偲ぶのである...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...彼等(かれら)は殆(ほとん)ど冷却(れいきやく)しようとしつゝある肉體(にくたい)の孰(いづ)れの部分(ぶぶん)かに失(うしな)はれんとしてほつちりと其(その)俤(おもかげ)を止(と)めて居(ゐ)た青春(せいしゆん)の血液(けつえき)の一滴(てき)が俄(にはか)に沸(わ)いて彼等(かれら)の全體(ぜんたい)を支配(しはい)し且(かつ)活動(くわつどう)せしめたかと思(おも)ふやうに...
長塚節 「土」
...彼の大國主の天の瓊矛を杖いて草昧の民の上に君臨せる俤を只今目前にみるのおもひあり久方の天が下には言絶えて嘆きたふとび誰かあふがざらむ十九日...
長塚節 「長塚節歌集 下」
...金三郎は娘の顔に母親の昔の俤を見出(みいだ)して...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...こし方を見渡せばこゝぞ桟のあとゝ思しきも今は石を積みかためれば固より往き来の煩ひもなく只蔦かつらの力がましく這ひ纒はれるばかりぞ古の俤なるべき...
正岡子規 「かけはしの記」
...夏には北方の気候の俤(おもかげ)は更にない...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...小由の桜茶屋女房は松之助の俤(おもかげ)あれど...
三木竹二 「明治座評」
...どれもどれも江戸を立った日の俤(おもかげ)はなくなっているのである...
森鴎外 「護持院原の敵討」
...在らぬ主の俤(おもかげ)を哀れに偲(しの)ばせた...
山下利三郎 「誘拐者」
便利!手書き漢字入力検索