...前よりも俛首(うなだ)れて...
石川啄木 「病院の窓」
...欝金草賣は謹んで無言のままに頭(くび)を俛(た)れた...
ルイ・ベルトラン Louis Bertrand 上田敏訳 「欝金草賣」
...彼等黙然として頭俛(た)れ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...芳子もその傍(そば)に庇髪(ひさしがみ)を俛(た)れて談話を聞いていた...
田山花袋 「蒲団」
...これだけは私厭です」父親は黙って煙管を啣(くわ)えたまま俛(うつむ)いてしまったが...
徳田秋声 「あらくれ」
...よもやお前に理(り)があるとは言うまいよ」お島は俛(うつむ)いたまま黙っていたが...
徳田秋声 「あらくれ」
...俛(うつむ)きながら煙草(たばこ)にマッチを摺(す)りつけていた...
徳田秋声 「仮装人物」
...栗栖もそっと俛(うつ)むいて猪口(ちょく)を手にした...
徳田秋声 「縮図」
...それから荷車の後を押して行くお杉さんも白かつた頬が日に燒けて脊には何時でも小さな子が首をくつたりと俛(うなだ)れて眠つて居ました...
長塚節 「白瓜と青瓜」
...巡査(じゆんさ)が縁側(えんがは)の坐蒲團(ざぶとん)へ腰(こし)を掛(か)けた時(とき)勘次(かんじ)は籠(かご)を脊負(せお)つた儘(まゝ)首(くび)を俛(た)れて立(た)つた...
長塚節 「土」
...助(たす)かれるもんならわしもはあ……」と彼(かれ)はぐつたり首(くび)を俛(た)れた...
長塚節 「土」
...巫女(くちよせ)の婆(ばあ)さんは先刻(さつき)と同(おな)じく箱(はこ)へ肱(ひぢ)を突(つ)いて「能(よ)く喚(よ)び出(だ)してくれたぞよう……」と極(きま)つたやうな句(く)を反覆(くりかへ)しつゝまだ十分(ぶん)の意味(いみ)を成(な)さないのに勘次(かんじ)は整然(ちやん)と坐(すわ)つた膝(ひざ)へ兩手(りやうて)を棒(ぼう)のやうに突(つ)いてぐつたりと頭(かしら)を俛(た)れた...
長塚節 「土」
...生殖作用(せいしよくさよう)を畢(をは)つた凡(すべ)ての作物(さくもつ)の穗先(ほさき)は悉皆(みんな)もう俛首(うなだ)れて居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...勘次(かんじ)は依然(いぜん)として俛首(うなだ)れた儘(まゝ)遂(つひ)に隣(となり)の主人(しゆじん)の門(もん)を潜(くゞ)つた...
長塚節 「土」
...夏の草なればにや矢車のみひとりいつまでも心強げに見ゆれば朝ごとに一つ二つと減り行くに何が殘らむ矢車の花俛首れてわびしき花の斗菜(をだまき)は萎みてあせぬ矢車の花風邪引きて厭ひし窓もあけたればすなはちゆるゝ矢車の花快き夏來にけりといふが如まともに向ける矢車の花五月十日...
長塚節 「長塚節歌集 下」
...貞婦烈女も賢妻良母も皆わけしらずのおぼことなって首を俛(た)るるであろう...
森鴎外 「細木香以」
...(男首を俛(た)れて辻馬車のたまりをさして行く...
モルナール・フェレンツ Molnar Ferenc 森鴎外訳 「辻馬車」
...そうして心持ち俛首(うなだ)れながら若林博士の言葉に耳を傾けた...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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