...僕はこの急劇な変化の前に俗悪な東京を思ひ出しました...
芥川龍之介 「大正十二年九月一日の大震に際して」
...蒹葭堂コレクシヨンさへ残したのはそれ自身豪奢の俗悪なる所以を示してゐるものと言はなければならぬ...
芥川龍之介 「僻見」
...かくして貧弱なる理想と俗悪なる精神とを有するルウズヴエルトの如き人間が時代の寵児として名誉を博するに至るのである...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「少数と多数」
...碧瑠璃園(へきるりえん)や徳富蘆花(とくとみろか)のようないい加減な通俗小説をえい方の標準にして俗悪な批評をするものが多いから」「どうもすみません」猫八はすました顔でちょッと頭を下げたので...
岩野泡鳴 「猫八」
...そういう俗悪なことは...
谷譲次 「踊る地平線」
...身持が悪くて俗悪なね...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...日露戦争の部には俗悪な錦絵(にしきえ)がたくさん陳列してあったので少しいやになりました...
寺田寅彦 「先生への通信」
...いわく「俗悪なる見解が如何に我物顔に横行せるかを見よ……彼等にあっては現段階の事象に対する暴露的批判が小児病的鋭舌をもって試みられてはいる...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...俗物によると日常生活は最も俗悪なものであって...
戸坂潤 「思想としての文学」
...何か大変俗悪な、素人をおどすような気分で書かれているような予感がしたからである...
戸坂潤 「読書法」
...そして俗悪なる弁士の声が彼の耳に響いた...
豊島与志雄 「生あらば」
...活動の俗悪なる空気とに迎えられた...
豊島与志雄 「生あらば」
...俗悪な銅像や石像が並んでる中に...
豊島与志雄 「地水火風空」
...電車通りの俗悪なのに比べて...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...請負普請(うけおいぶしん)の醜劣俗悪な居室(きょしつ)の中(なか)に住んでいる人があると慨嘆している...
永井荷風 「妾宅」
...下吏となって長く膝(ひざ)を俗悪な大官の前に屈するよりは...
中島敦 「山月記」
...俗悪な色や模様を捜そうとするならただ倦怠(けんたい)を感じるであろう...
柳宗悦 「工藝の道」
...俗悪な絵だの花だのを...
吉川英治 「宮本武蔵」
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