...発病・帰朝・終焉・葬儀こう決定してからは一日も早く文学と終始した不愉快な日本の生活から遁(のが)れるべく俄に急(せ)き立って...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...俄に信用はできない」「ええ船長...
海野十三 「火薬船」
...俄に都の中央で下宿營業といふやうなごた/\した食物商賣に携はつたのであるから...
高濱虚子 「續俳諧師」
...「もと餘り健康で無い體で俄に慣れない勞働をなすつたのと其上睡眠不足などが原因で餘程體を壞していらつしやる...
高濱虚子 「續俳諧師」
...俄に素顔君の訃を伝へて来たのは...
高浜虚子 「椿子物語」
...俄に雨になったものですから……」艶(なまめ)かしい声がして女達は舟へあがってきた...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...それで俄に女がこわくなって引きかえそうと致しました...
小泉八雲 田部隆次訳 「忠五郎のはなし」
...有吉は俄に坐り直した...
豊島与志雄 「傷痕の背景」
...俄に彼のうちに上ってきた...
豊島与志雄 「蘇生」
...元彦は俄に明瞭な意識に返りました...
豊島与志雄 「渡舟場」
...娘は俄に萎(しほ)れかへりし面(おもて)に生々とせし色を見せて...
樋口一葉 「うつせみ」
...其れと同時に往路巴理(ぱりー)に滯在した時とは打て變つて使節一行の待遇と云ふものが俄に惡くなつて仕舞つた...
福澤諭吉 「明治三十一年三月十二日三田演説會に於ける演説」
...俄にも母は世に亡くなり給ひ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...そばのひとの袂を引っぱッて俄にせがんだ...
吉川英治 「私本太平記」
...それは、東軍の一将、奥州白河の結城光広(ゆうきみつひろ)の子、親光の一軍で、さきごろから狐河(きつねがわ)の辺で敵の赤松勢と対峙していたが、俄に旗を巻いて、宮方へ投(とう)じてしまったものである...
吉川英治 「私本太平記」
...それが俄に、こんな守勢に転じなければならぬとは――と彼の若さは、心外でたまらなかった...
吉川英治 「私本太平記」
...そして、「豊田へ帰ろう」と、俄に、引揚げの命を出した...
吉川英治 「平の将門」
...……だが、加山」「は……」「およそ……」と、彼の態度は、俄に、ぴたりと落着いた...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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