...此刹那に於いては道端の石塊も俄然として光を發する...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...俄(にわ)かに思いついたごとく深田にいるのが厭になってしまった...
伊藤左千夫 「春の潮」
...機会を待構えていた実業上の野心は忽ちムクムクと頭を擡上(もちあ)げて食指俄に動くの感に堪えなかった...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...ヒルミ夫人の頬が俄(にわ)かに痩(こ)け...
海野十三 「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」
...外の餓鬼大将(がきだいしょう)が俄(にわか)にしおしおして了うのだった...
江戸川乱歩 「お勢登場」
...にせのめくらが俄かに本当のめくらになり...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...今度俄に二十円になっていて...
豊島与志雄 「反抗」
...然るにわれは俄(にわか)に老の楽(たのしみ)の新なるを誇らんとす...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...俄然(がぜん)として弥之助の耳元にひびいて来たのは人間の価上りであった...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...俄(にわ)かにまた呼吸の逼迫(ひっぱく)...
野中到 「寒中滞岳記」
...俄然戦時体制に入ったような凛烈果敢な風貌になった...
久生十蘭 「魔都」
...奇術師は俄然東北弁になるやら珍景...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...俄然極東の東京支那(トンキン・チャイナ)へ――唐突にも――! 急転するのだ...
牧逸馬 「ロウモン街の自殺ホテル」
...」俄(にわか)に悲しさに堪(た)えられなくなった声が著しく震えた...
水上滝太郎 「九月一日」
...俄(にわ)かに変って来たその態度を通じて...
夢野久作 「けむりを吐かぬ煙突」
...地が俄(には)かに二三尺(じやく)も低くなつたやうに姫向日葵(ひめひまはり)の鬱金(うこん)の花の尖(さき)だけが見え...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...帷幕の空気は俄然色めいていた...
吉川英治 「上杉謙信」
...それが俄に、こんな守勢に転じなければならぬとは――と彼の若さは、心外でたまらなかった...
吉川英治 「私本太平記」
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