...厠は表階子(おもてばしご)の取附(とッつ)きにもあって、そこは燈(あかり)も明(あかる)いが、風は佳(よ)し、廊下は冷たし、歩行(ある)くのも物珍らしいので、早瀬はわざと、遠い方の、裏階子の横手の薄暗い中へ入った...
泉鏡花 「婦系図」
...おいしい眠りを与えてくれる佳(よ)い寝床だ...
太宰治 「新ハムレット」
...」家へ帰つて兄に、金木の景色もなかなかいい、思ひをあらたにしました、と言つたら、兄は、としをとると自分の生れて育つた土地の景色が、京都よりも奈良よりも、佳くはないか、と思はれて来るものです、と答へた...
太宰治 「津軽」
...青年貴族マキシミリヤンと佳人リュシエンヌが極めて物静かに語り合っている...
辰野隆 「感傷主義」
...眺望絶佳の場所とされています...
豊島与志雄 「画舫」
...松林田疇の眺望この邊最佳なるを見るにつけ競馬場建築の俗惡いよ/\惡む可し...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...何ぞ佳気葱々(かきそうそう)といったようなものが...
中里介山 「大菩薩峠」
...そつから佳味(うま)かねえなんていふもんぢやねえ...
長塚節 「土」
...「スペイン舞曲」は代表的な佳作だ...
野村胡堂 「楽聖物語」
...(二)佳い塩梅に...
羽志主水 「越後獅子」
...敢て自から安心してます/\佳境に入るの時間なり...
福沢諭吉 「女大学評論」
...石川淳氏の「佳人」(作品)である...
牧野信一 「月評」
...私は信州などでの方言によっていまこれをハナササゲという佳名で呼んでいる...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...この手段甚だ狡獪(こうかい)なるを以て往々力を費さずして佳句を得ることありといへども...
正岡子規 「俳諧大要」
...白身も黄身も同じような半熟になって味の佳いこと非常だね...
村井弦斎 「食道楽」
...即ち其見るに足らざる一草舎に佳名を付したるに過ぎざるや知るべきのみ...
山路愛山 「頼襄を論ず」
...美酒佳肴(びしゅかこう)の善美が運ばれ...
吉川英治 「新書太閤記」
...佳(よ)い酒を民家からさがして来るとか...
吉川英治 「宮本武蔵」
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