...わしはあらゆる社会の最も善良な部分――没落した家の子供達とか女役者とか奸黠な悪人とか佞人(ねいじん)とか空威張(からゐばり)をする人間とか――を歓待した...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...世間からは故人に佞(ねい)しもしくは故人を舁(かつ)いだものかのように受取られたことが多いのです...
伊藤左千夫 「子規と和歌」
...虚文虚礼便佞(べんねい)諂諛(てんゆ)を賤(いや)しとして仕官するを欲しなかった二葉亭もこの意外なる自由の空気に満足して...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...この少数の佞奸邪智の輩にばかり横領されて...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...内心如夜叉(ないしんにょやしゃ)的の奸佞(かんねい)の害心があるとも知らず...
太宰治 「畜犬談」
...……今日の収穫・あるけばかつこういそげばかつこう・落葉松は晴れ切つてかつこう・若葉したたるながれで旅のふんどしを・お山へのぼる花をむしつてはたべ・岩に腰かけ樹にもたれ何をおもふや・いただきの木のてつぺんで鳥はうたふ・おべんたうをひらくどこから散つてくる花びら・雲かげもない木の芽のしづか・寝ころびたいスロープで寝ころぶ若草・落葉松落葉まどろめばふるさとの夢・落葉松落葉墓が二つ三つ懐古園三句・浅間は千曲はゆうべはそゞろ寒い風・ゆふ風さわがしくわたしも旅人・その石垣の草の青さも(牧水をおもふ)・浅間をむかうに深い水を汲みあげる・ぞんぶんに水のんで去る藤の花・風かをる信濃の国の水のよろしさ・虱がとりつくせない旅から旅・浅間へ脚を投げだして虱をとる・まんなかに池がある昼の蛙なく(岩村田遊廓)・浅間したしいあしたでゆふべで(此の二句父草居にて)・ゆつくりいくにち桑が芽ぶいて若葉した江畔老に・けさはおわかれの、あるだけのお酒をいたゞく・草萌ゆる道が分れる角で別れる・逢へば別れるよしきりのおしやべり・さえづりかはして知らない鳥が知らない木に・水はあふれるままにあふれてうららか○自戒一則――貪る勿れ、疑ふ勿れ、欺く勿れ、佞る勿れ、いつもおだやかにつゝましくあれ...
種田山頭火 「旅日記」
...春台(しゅんだい)らみな幕府に佞(ねい)しつれども...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...特別に佞奸な奴だといわれている顧客の一人に...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...阿媚(あび)と諂佞(てんねい)を捧げるものはありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...身を全うし妻子を保(やす)んずることをのみただ念願とする君側の佞人(ねいじん)ばらが...
中島敦 「李陵」
...狡猾(かうくわつ)奸佞(かんねい)なるものの世に珍重せらるべきを知りぬ...
夏目漱石 「人生」
...主家を潰(つぶ)すわけには行かぬ」「――」「勇三郎樣は佞奸邪智(ねいかんじやち)で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それを遂げさせ申す事阿諛便佞(あゆべんねい)の所為(しょい)なるべしと申候...
森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書(初稿)」
...佞臣(ねいしん)どもや獄卒どもをはげませ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...案(あん)の定(じょう)大月玄蕃の間諜(まわしもの)でござった」「さてはさすが佞智(ねいち)の玄蕃めも...
吉川英治 「剣難女難」
...佞吏を懲らす者はない...
吉川英治 「三国志」
...曹丕はその佞(ねい)を観破することができないで...
吉川英治 「三国志」
...佞奸(ねいかん)の眼から見れば甘い...
吉川英治 「源頼朝」
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