...鴬は筍藪(たけのこやぶ)といひて老若(らうにやく)の余情もいみじく籠(こも)り侍らん...
芥川龍之介 「芭蕉雑記」
...しかしそれは句の陰に潜んだまったくの余情であって...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...あまりに余情に富み過ぎて...
谷崎潤一郎 「秘密」
...余情等種々な符号で現わされたものはすべて対象の表層における識閾(しきいき)よりも以下に潜在する真実の相貌(そうぼう)であって...
寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
...幽玄も、余情も、さびも、しおりも、細みもこの弦線の微妙な振動によって発生する音色にほかならないのである...
寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
...この上に「かな」留めにしては言いおおせ言い過ぎになってなんの余情もなくなり高圧的命令的独断的な命題になるのであろう...
寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
...そうして単に雪後の春月に対して物思う姿の余情を味わえば足りるであろう...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...以(もっ)て艶麗(えんれい)なる風姿に無限の余情を添へしめ...
永井荷風 「江戸芸術論」
...ましてそこにチャーミングな余情を含ませんが為めの態(わざ)とらしいあまい「舌足らずさ」ではない...
長與善郎 「青銅の基督」
...劇的な展開もゆとりもふくらみも余情も失われる...
野村胡堂 「楽聖物語」
...『花鳥余情』とか『原中最秘抄』などいう註解本によって研究したらしく...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...それがなんともいえぬ余情をのこす」シュヴァリエの水雷長がいった...
久生十蘭 「だいこん」
...憂国の余情溢(あふ)れて...
福田英子 「妾の半生涯」
...積怨(せきえん)の余情溢れて終(つい)に惨酷(ざんこく)比類なき仏国(ふっこく)革命の際の如く...
福田英子 「妾の半生涯」
...余情を有つた言葉を...
北條民雄 「間木老人」
...同時に此がこの日本々来の余情でもあること...
正岡容 「寄席風流」
...もう少し余情を持つべきであった...
宮本百合子 「気むずかしやの見物」
...あとにしんみりとした余情が残った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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