...余さずこの古革鞄に納めた...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...巻頭の辞から広告社告の末まで一字も余さず読んで行く中に...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...ここに一兵も余さず...
海野十三 「空襲葬送曲」
...すると、死骸は邸内のどこかに隠してなければならぬ筈なのに、あのときあとに残った、麹町の司法主任が、屋内屋外、一寸角も余さず、検べ廻ったにもかかわらず、死骸は勿論、何の手掛りらしいものさえ、発見出来なかったのは、実に不思議といわねばならぬ...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...あなたの文章は一つも余さず読んで...
太宰治 「風の便り」
...しかしどうかしてこの書を一字一句余さずに精読(実際自分のような「手から口へ」の生活者には翻訳でもする以外にはそんな余裕は与えられはしない)したいという強い気持が自分に元々あったために...
辻潤 「自分だけの世界」
...岩の裾(すそ)を尺も余さず斜めに滑って...
夏目漱石 「虞美人草」
...一人も余さず「浪人」となってしまった...
服部之総 「尊攘戦略史」
...心中存するところ一切余さず書き綴るものなり...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...やがて出されたものは余さず喰(た)べるようになった...
山本周五郎 「菊千代抄」
...「一粒も余さず」というのは過酷だった...
山本周五郎 「城を守る者」
...一葉余さず落葉掃く...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...一人も余さず君側から掃蕩してしまえ」と...
吉川英治 「三国志」
...旧藩の文官や賢才は余さずこれを自己の陣営に用い...
吉川英治 「三国志」
...藤吉郎は、それについては、「苅安(かりやす)、長比(たけくらべ)、長亭軒の城など――一括(ひとから)げに、はや落去いたし、敵将樋口三郎兵衛以下、一名も余さず、お味方に降(くだ)し、それがしが手勢のうちに従えて参りましたれば、はや後には御懸念なく」と、答え、「つぶさなことは、御陣のお暇をみて、徒然(つれづれ)のおなぐさみにでも、いずれお話し申し上げましょう」と、のみで、その折には、語らなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...ほとんどひとりも余さず捕斬(ほざん)された...
吉川英治 「新書太閤記」
...いまは一国余さず...
吉川英治 「新書太閤記」
...さいごの息づかいらしいのが窺われたとき、ぼくたち兄妹は、ひとり余さず、母の周囲に顔をあつめて、涅槃(ねはん)の母に、からだじゅうの慟哭をしぼった...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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