...何心なく店へ一と足踏み込むと...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...……・汲みあげる水のぬくさも故郷こひしく・枯れようとして朝顔の白さ二つ石地蔵尊その下で釣る・暮れてとんぼが米俵編んでゐるところ・灯かげ月かげ芋の葉豆の葉(改作)一つ風景――親牛仔牛が、親牛はゆう/\と、仔牛はちよこ/\と新道を連れられて行く、老婆が通る、何心なく見ると、鼻がない、恐らくは街の女の成れの果だらう、鐘が鳴る、ぽか/\と秋の陽が照りだした、仰げばまさに秋空一碧となつてゐた...
種田山頭火 「行乞記」
...曾(かつ)て何心なく読みおり候所...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...平生(へいぜい)何心なく身に着けて外へ出る黒木綿(くろもめん)の紋付さえ...
夏目漱石 「道草」
...何心なく帰ったお徳の歎きは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何心なく行灯の灯の中に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何より先づ娘のお玉の樣子を――、唐紙(からかみ)をあけて、何心なく、娘の寢てゐる部屋を覗いたお春は、「わツ、誰か來て、お玉が、お玉が」ヘタヘタと腰を拔かして、部屋の中へ這ひ込んだのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何心なく美登利と見合す目つきの可愛(かわゆ)さ...
樋口一葉 「たけくらべ」
...糸子(いとこ)何心(なにごゝろ)なく見返(みかへ)して...
一葉女史 「たま※[#「ころもへん+攀」、U+897B]」
...何心なく文三が格子戸(こうしど)を開けて裏(うち)へ這入ると...
二葉亭四迷 「浮雲」
...お勢も何心なく振り反ッてみて...
二葉亭四迷 「浮雲」
...文三は何心なくお勢の背後(うしろ)を通り抜けようとすると...
二葉亭四迷 「浮雲」
...何心なくひろって見たら...
宮本百合子 「「インガ」」
...何心なく柱に倚って居ると...
宮本百合子 「餌」
...何心なく伯母さんの針箱の引出しを明けたら何だか書いたものが小さく成って入ってるんでしょう...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...何心なく電車の窓より六甲武庫連山の天空を眺めしに...
武者金吉 「地震なまず」
...何心なくであったが...
室生犀星 「香爐を盗む」
...歳首に作つた五絶数首の中に、「春風病将痊、今年七十一、皇天又何心、馬齢開八秩」と云ふのもあつた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
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