...渠(かれ)は何心なく見て過ぎた...
泉鏡花 「悪獣篇」
...それから其(そ)れと幾年(いくねん)も溯(さかのぼ)つて何心(なにごゝろ)なく考へて見ると...
永井荷風 「すみだ川」
...何心配するほどの事はありませんよ」と云い切って...
夏目漱石 「行人」
...その紙の上へ万年筆で何心なく二三行書きかけた時...
夏目漱石 「明暗」
...やって貰おう」何心なく斯(こ)う申します...
野村胡堂 「禁断の死針」
...何心なく筋書の底を割つて了ひました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「いやな流行(はや)りものにならなきや宜いが――」ガラツ八は何心なくそんな事を言つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何心なく永代橋へ參り...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何心なく見上げた平次の眼に恐ろしい疑惑を呼び起したものが一つあつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「御新造さんの弟さんで、米吉さんですよ」さう言つてゐるところへ、十七八の前髮立の美少年が、何心ない樣子で、チヨロチヨロとお勝手を出て來ました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...平次は何心なく後ろの方――母屋の縁側を振り返りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この几董(きとう)の句にても「生きて世に」と屈折したる詞(ことば)の働きより「人の年忌や」とよそよそしくものしたる最後に「初茄子」と何心なく置きたるが如くにて...
正岡子規 「俳諧大要」
...阿園が問いに何心なくさようと答えつ...
宮崎湖処子 「空屋」
...朝子は自然の感情から何心なくそういう意味を云ってやった...
「おもかげ」
...何心なく持っていた手鏡の中に小さく月がうつっている...
「鏡の中の月」
...中将が来て東の渡殿(わたどの)の衝立(ついたて)の上から妻戸の開いた中を何心もなく見ると女房がおおぜいいた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...歳首に作つた五絶数首の中に、「春風病将痊、今年七十一、皇天又何心、馬齢開八秩」と云ふのもあつた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...若き人は何心なく...
吉川英治 「新書太閤記」
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