...渠(かれ)は何心なく見て過ぎた...
泉鏡花 「悪獣篇」
...空の星も晃々(きらきら)として、二人の顔も冴々(さえざえ)と、古橋を渡りかけて、何心なく、薬研(やげん)の底のような、この横流(よこながれ)の細滝に続く谷川の方を見ると、岸から映るのではなく、川瀬に提灯が一つ映った...
泉鏡花 「怨霊借用」
...何心なく窓をあけて見ると...
内田魯庵 「鴎外博士の追憶」
...そのおり家康は湯を汲み出そうとして何心なく釜の蓋へ手をやった...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...その中(うち)の一人が何心(なにごころ)なく土産物の包(くる)んであつた新聞紙を手に取つて見た...
薄田泣菫 「茶話」
...何心なく出ただけに...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...何心なく唇(くちびる)でなで回した...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...垂れていた右手を何心なく挙げると...
豊島与志雄 「人の国」
...私は何心なく行って見ると...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...その日も何心(なにごころ)なく一皿の中(うち)少しばかり食べしがやがて二日目の暁方(あけがた)突然腸(はらわた)搾(しぼ)らるるが如き痛(いたみ)に目ざむるや...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...拙者は何心なくその家のことを聞いてみるとな...
中里介山 「大菩薩峠」
...平次は何心なく拔いて見ました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兄といへるは何心なく積重ねたる反古紙(ほごがみ)を手に取りて見れば...
樋口一葉 「うつせみ」
...何心(なにごころ)なく披(ひら)き見れば...
福田英子 「妾の半生涯」
...文三初(はじめ)は何心なく二階の梯子段(はしごだん)を二段三段登(あが)ッたが...
二葉亭四迷 「浮雲」
...何心なく物を言っては高笑(たかわらい)をする...
二葉亭四迷 「浮雲」
...折しも家の前を通りし大原家の下女何心なく中川家の座敷を覗(のぞ)き「オヤ満さんはここにいるよ...
村井弦斎 「食道楽」
...何心なくお伺いされた時に...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
便利!手書き漢字入力検索