...せめて、本を読む時と、字を書く時と、窓から海の方を見ている時丈けでも、吉ちゃんの身体が離れてほしいと思いました...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...せめて横須賀(よこすか)位(ぐらい)ならまだしも...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...「晩にはせめて庭の方の雨戸には閂をさしてよく締まりをしておいたでしょうね...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...せめて三百部売れるなら収支が償って継続されるが...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...せめて――」「たわけたことを申すなっ」八郎太は...
直木三十五 「南国太平記」
...江戸川の岸はせめんとにかためられて再び露草(つゆくさ)の花を見ず...
永井荷風 「日和下駄」
...せめてこれだけは自然のまま大切に保存して...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...せめて線香でも上げて行こうか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...せめて、鏡とでも相談してみ給へ――その面(つら)でしやあしやあとよくもそんな眞似が出來たものだ!』ちえつ、箆棒め、顏はといへば、膀胱の氷嚢みたいで、縮れた一つまみきりの前髮を頭の天邊へ持つて行つて、油で變な渦卷型に固めつけてゐれあ、それでいつぱしのど偉い人間のやうなつもりでゐやあがるんだ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「狂人日記」
...腹中のお酒よせめて明日のお昼頃までとどまっていておくれ...
正岡容 「わが寄席青春録」
...あんまりせめられ様がひどいので...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...ああせめて、私の眼がたんのうするまで、と...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...せめてこれだけの才分でもあの人にあればよかったと源氏は残念な気がした...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...「せめてあの瞬間の楽しさだけでも...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...せめて髪毛(かみのけ)位浮き上がりそうなものだ...
夢野久作 「白髪小僧」
...せめて身體の苦痛だけでも除いて遣りたいものです...
横瀬夜雨 「花守」
...そしてせめて三月(みつき)でも此処(ここ)に留(とゞま)ることが出来たら北独逸(ドイツ)の生活の面白さが少しは内部的に解(わか)つたであらう...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...「せめて哀れと夕暮れにちらちら雪に濡れ鷺のしょんぼりとかあいらし」というような文句を...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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