...材料(ざいりょう)の取捨(しゅしゃ)選択(せんたく)の責(せめ)は当然(とうぜん)私(わたくし)が引受(ひきう)けなければなりませんが...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...ヂドは無情なる夫のせめては啓行(いでたち)の日を緩(おそ)うせんことを願へり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...怪しい潜水艦!二つのものにせめたてられ...
海野十三 「人造人間エフ氏」
...せめてそれだけでもわたしにしらせてくれそうなものを! 何年飼ってもおまえはバカ猫だから...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...せめて電話で温泉旅館組合の中の心當りを聞いてやる位の便宜をはかつてやつてはどうか...
寺田寅彦 「伊香保」
...せめても獨りテラモーン生める豪雄アイアース行け...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...路用や、貯(たくわ)えの一切を焼いてしまった上に、せめて、頭の飾りとかなんとかひとくさでも残っていれば、多少とも急場を救うの金目にならないとも限らないが、それすら無いのですから、一時はこうして人の好意につながっていても、不安が目の前についている...
中里介山 「大菩薩峠」
...せめてダックスまで――見送つてやるといつて...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...一挙に均一というのが、行きすぎならば、せめて、最高と最低が、一対三くらいにならないものか...
野村胡堂 「胡堂百話」
...せめて他所乍(よそなが)ら守護するつもりだつたと解り...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...せめて詫言(わびごと)の一つも言う気になったらどんなものだ」平次の追及のますます猛烈なのを聞くと...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...せめて最寄りのお隣り同士としてでも住むことが出来ましたなら...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...せめては今後を人間らしう送らんとの念はかく懺悔(ざんげ)の隙(ひま)もいと切(せつ)なり...
福田英子 「妾の半生涯」
...……せめて、この男は少し耳でも遠いのかな? とでも思つてくれゝば好いが――終ひには私は、原告の法律的術語の羅列があまりに流暢であるのに反して、まつたくの唖である自分が少々きまり悪くなつて、判官達に対してそんな途方もない空頼みを念じたりした...
牧野信一 「毒気」
...せめて大凡の見当のわかるまでここで待たせていただきます...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...せめてアノ神(しん)凝(こ)り...
夢野久作 「狂人は笑う」
...「わっしは、七日七晩、焼き米かじッて、ここに住み込みで探したんですから、それで外へ出たひにゃもう半病人です」とさえ、中には言うやつがありましたから、これは、何かよほどな探し物だったにちがいありませんが、それは骨折り損になり、なおまだ、親分というものが何を求めるのか、意中の掬(く)めない面々は、せめて、ここでそれだけでも打ち明けて貰いたいと主張するのが異口同音でありました...
吉川英治 「江戸三国志」
...せめて世に恥なきような死に花だけでもと...
吉川英治 「新書太閤記」
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