...何処やらで調子はづれた高い男の声が...
石川啄木 「鳥影」
...昼頃何処やらで蕎麦を一杯宛食つただけなのに...
石川啄木 「天鵞絨」
...眼つきと鼻の恰好(かっこう)に何処やら共通した点がないでもなかった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...実を云うと要を最初に惹きつけたものはその何処やらに濁りを含んだ浅黒い皮膚のつやであった...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...その憂鬱な表情をまだ何処やらに残しながら...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...“苧環をくりかけてあり梅の宿”“何処やらに鶴の声きく霞かな”“駒ヶ嶽に日和さだめて稲の花”井月の偽筆! 彼は地下で微苦笑してゐることだろう!┌塩原本家 軸...
種田山頭火 「旅日記」
...舶来種のまだ我(わが)邦土(ほうど)には何処やら居馴染(いなじ)まぬ花だが...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...何処やら武骨(ぶこつ)な点もあって...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...挙措(きょそ)動作が何処やら異っているので警戒しなくてはならないと見られた...
長谷川時雨 「芳川鎌子」
...或る夜の月に下(した)坐敷へは何処やらの工場の一連(む)れ...
樋口一葉 「にごりえ」
...何処やらの人が子供の時うつした写真だといふあどけないのを貰(もら)つて...
樋口一葉 「ゆく雲」
...何処やらが悪戯(いたずら)らしく見えるが...
二葉亭四迷 「浮雲」
...ヤア何処やらがやるとなるとこの名案は早くも熱海の専有でもなくなる...
牧野富太郎 「植物記」
...何処やらのおいしい最中(もなか)を買って来ると...
吉川英治 「江戸三国志」
...いかにも何処やらに覚えのある新九郎――して...
吉川英治 「剣難女難」
...早やさっきの二艘(そう)も何処やらに着き...
吉川英治 「新・水滸伝」
...何処やら旦那様のお話し振とよう似ておりましたが』『あっ……』愕然(がくぜん)としたように――然しさりげなく...
吉川英治 「死んだ千鳥」
...また、何処やらで、嬰児(あかご)のさけび声がする...
吉川英治 「宮本武蔵」
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