...何やら御様子ありげの今のお言葉...
江見水蔭 「備前天一坊」
...たとえば、十匹の蟻(あり)が、墨汁の海から這(は)い上って、そうして白絹の上をかさかさと小さい音をたてて歩き廻り、何やらこまかく、ほそく、墨の足跡をえがき印し散らしたみたいな、そんな工合いの、幽(かす)かな、くすぐったい文字...
太宰治 「父」
...学校からの帰りには、義太夫の女師匠の家へ立寄つて、さいしよは朝顔日記であつたらうか、何が何やら、いまはことごとく忘れてしまつたけれども、野崎村、壺坂、それから紙治など一とほり当時は覚え込んでゐたのである...
太宰治 「津軽」
...何やら巨匠のような構えをつくって来たのだから失笑せざるを得ない...
太宰治 「如是我聞」
...左手もて何やらんおそろしきものを防ぎ...
太宰治 「もの思う葦」
...それが何やら小さく首をふると...
豊島与志雄 「田舎者」
...何やらわめき散らして...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...さて何が何やら一向解らず...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何やら黒い巾の千切れたのが引つ掛つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...大の男二人で?」「そこまではわからない」平次は何やら深々と考えております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その話が一番面白いよ」平次は何やら一人でうなずいております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...下男の元吉を脅(おど)かして見るが」「ヘエ?」八五郎は何が何やら...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何やら考え込んだまま返事をしようともしませんでした...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...南方先生その何やらのふちから溢(あふ)るるばかりの大愛敬(あいきょう)に鼠色の涎(よだれ)を垂らして...
南方熊楠 「十二支考」
...そうして何が何やらわからないままここまで来てしまったのであった...
夢野久作 「暗黒公使」
...傍(かたわら)のカルロ・ナイン殿下をかえり見て何やら眼くばせをした...
夢野久作 「暗黒公使」
...……何やら、折入って、われら四名に、談合(だんごう)な申したいというおことばでもございますれば」「ふうム...
吉川英治 「新書太閤記」
...先に掲げた寺尾左馬宛の手紙は、この島原攻めの時より数年後のものであるが、その文中にも、「……われら儀、年まかり寄り」といったり、「人なかへまかり出るべき様子にもござなく」といい、さらには「――兵法も罷り成らざる体(てい)に御座候」と述懐していて、何やら、非常に自身の老いを嘆じているような所がみえる...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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