...Iに対しても何となしに一種の軽侮を感じ始めた...
伊藤野枝 「惑ひ」
...自分よりもずっと低級な夫――皆の顔をそこに目の前にまざまざと並べるともう登志子は頭がイライラしてきて何となしに歯をかみならして遣り場のない身悶をやけに足に力を入れて遣りすごした...
伊藤野枝 「わがまま」
...何となしに、あはれには聞ゆれど、涙は出さうにも無し...
大町桂月 「南洲留魂祠」
...何となしにうれしくなつた...
種田山頭火 「其中日記」
...何となし涙ぐまれるようであった...
徳田秋声 「あらくれ」
...銀子の癖で何となし気分が険悪になったり...
徳田秋声 「縮図」
...怖いものの正体が、そこに現存していることで、朝霧は自分が臆病の幻を笑われた不名誉だけは取戻したが、ここにひとり横たわる人の姿を見て、また何となしに、恐怖か凄みかに打たれて、沈黙して、村正どんの袂の下から息をこらして見ているだけです...
中里介山 「大菩薩峠」
...何となしに甲州一国を髣髴(ほうふつ)させるのが山科の風景である...
中里介山 「大菩薩峠」
...私は何となしに、また魯迅の作品の暗い翳を思い浮べるのであった...
原民喜 「翳」
...何となしに彼の筒抜けたやうな奇体な嗤ひ声が思ひ出されたり...
牧野信一 「奇友往来」
...何となしに家事に忙しかったが...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...何となし口をきくのも楽になって...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...何となしひとりで大変永く話したように疲れた感じね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...たとえば主人公に老人をもって来る、何となしの流行...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そちらも何となしそういう空気で...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...何となしあちこちがよまれる...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...何となしこれも苦笑に近い気持がしました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...後には只何となしにそこで話していたのである...
森鴎外 「護持院原の敵討」
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