...「おい貴様この包を帰り途(みち)に白官舎に投げこんでおいてくれないか」と何げない風にいいながら...
有島武郎 「星座」
...何げないふりをして通る二人を...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...あんさんも飲んでごらんといってちちくびからしたたりおちているのを茶碗(ちゃわん)で受けてさし出しますから父はちょっとなめてみてなるほどあまいねといって何げないていに取りつくろっていましたけれどもお静がなんの意味もなく飲ませたものとばかりには思われませなんだので自(おの)ずと頬(ほお)があからんでまいりまして...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...岸べりに、はびこつてゐる、葛(くず)の葉を一枚むしりとつて、何げない顔で、狐の前にさし出して、「さてコン助さんとやら、渡し賃に小判一両あげる...
土田耕平 「狐の渡」
...一方のすみには熊鷹(くまたか)のような悪漢フレッドの一群が陣取って何げないふうを装って油断なくにらまえている...
寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...何げない様子をして自分と話をしている...
平林初之輔 「頭と足」
...何げない夜の景色を森(しん)とととのえていた...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...沢(かんたく)は何げない態をつくろって...
吉川英治 「三国志」
...御自身も東国侍の何げない熊野詣(くまのもうで)と装われて...
吉川英治 「新書太閤記」
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