...何がし甚内だったのに違いありません...
芥川龍之介 「報恩記」
...そんなに卑劣には何がしたのだろう?自分の力でたつ事が出来ないものは...
伊藤野枝 「転機」
...もちろん江東のアイス王の一億何がしという目も眩(くら)むような財宝だろう」「目も眩むような財宝? そんなものはもう入ってないさ...
海野十三 「獏鸚」
...さるに、明治十六年の事なりき、阿波の人井上勤君、編輯局に入り來られぬ、同君、まづ局長に會はれし時に、局中には學士も濟々たらむ、何がし、くれがし、と話しあはれたる時、局長のいはるゝに、「こゝに、ひとり、奇人こそあれ、大槻のなにがしといふ、この人、雜駁なる學問なるが、本邦の語學は、よくしらべてあるやうなり、かねて一大事業をまかせてより、今ははや十年に近きに、なほ、倦まずして打ちかゝりてあり、強情なる士にこそ」と、話されぬと、井上君入局して後に、ゆくりなくおのれに語られぬ...
大槻文彦 「ことばのうみのおくがき」
...陸奥(みちのく)一円にかくれなき瀬越の何がしという大賊...
太宰治 「新釈諸国噺」
...大小方円の見さかいもつかないほどに頭が悪いおかげで大胆な実験をし大胆な理論を公にしその結果として百の間違いの内に一つ二つの真を見つけ出して学界に何がしかの貢献をしまた誤って大家の名を博する事さえある...
寺田寅彦 「科学者とあたま」
...国民の九割八分何がしの多数と云うことが...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
......
樋口一葉 「さをのしづく」
...父が詩文の友成ける何がしの伯父來あひて...
樋口一葉 「反古しらべ」
...一円何がしの定食も上等だが...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...何がしまつたんだ...
北條民雄 「道化芝居」
...俺は専用電信に何がしか払ってんだぞ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「バブル崩壊」
...何がしに逢ひなば此話言づて給へなど云ふに舟に乗りたるもの皆顔を青くして身ぶるひしけり...
正岡子規 「かけはしの記」
...朋輩(ほうばい)の何がしは三年のつとめ済んで...
正岡子規 「旅」
...野中にある何がし様のお下屋敷の塀の内へ飛んではいつた...
正岡子規 「蝶」
...そこで私は根岸の病人何がしであるが最早御庁(おんちょう)よりの御迎へが来るだらうと待つて居ても一向に来んのはどうしたものであらうか来るならいつ来るであらうかそれを聞きに来たのである...
正岡子規 「墨汁一滴」
...出稽古から帰るとかせぎためた何がしかを早速...
宮城道雄 「五十年をかえりみて」
...メフィストフェレス気が落ち著かぬと云う風で、何がしたいか、どうしたいか、自分で自分が分からずに、2850夜昼(よるひる)貰った宝の事を、それよりもくれた人の事を、思い続けているのです...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
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