...――何しろ、手のつくせる丈(だけ)は、つくした上なのでございますから、あきらめるより外は、ございませんが、それでも、あれまでに致して見ますと、何かにつけて、愚痴が出ていけませんものでございます...
芥川龍之介 「手巾」
...何かにつけて見えますんでねえ...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「恐怖の幻兵団員」
...何かにつけて、若いうちは勇気のあるものである...
薄田泣菫 「茶話」
...漸くいらいらして来た居士は何かにつけて余らを罵倒(ばとう)し始めた...
高浜虚子 「子規居士と余」
...」その頃、何かにつけて、こんな工合に周さんと、日支比較論議とでもいうべきものが風発せられたのである...
太宰治 「惜別」
...何かにつけてごまかそうとしている時に...
中里介山 「大菩薩峠」
...良心の責めというものの悶(もだ)えならば、時も遅いし、その意味をも成さないわけでありますが、七兵衛のした仕事そのものよりは、何かにつけて、もっと大きな浅ましさを感じてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...今日まで何かにつけての稼(かせ)ぎ貯めというようなものを...
中里介山 「大菩薩峠」
...何かにつけて不自由な山などへ籠っては...
中島敦 「斗南先生」
...何かにつけて不便なことがありやしないかね...
牧野信一 「鏡地獄」
...何かにつけては、「彼那我儘な人と仲よしになったりして、一体お前はどうする量見なのかい...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...何かにつけ吾々一同が恩を受けた方なのである...
柳宗悦 「赤絵鉢」
...何かにつけ、「……生命(いのち)なくば」と大切に思い、そのいのちも「……長からねば」と、心がけるようになってきたのは争えない...
吉川英治 「私本太平記」
...桶狭間(おけはざま)このかた、信長のこの「一挙に――」という信念は、何かにつけ、以前より強くなったようである...
吉川英治 「新書太閤記」
...例によって、秀吉は、何かにつけ、いちいち安土の信長へ使いを派していた...
吉川英治 「新書太閤記」
...「戻りました」と、兵庫は答えて、「いつもの、氷川の社(やしろ)へ参詣に行って、その帰り道、彼方此方(あちこち)、駒にまかせて歩いて来たので、遅くなったのだと申しておりました」「そちが迎えに行ったのか」「そうです」「…………」宗矩は、それからまた、短檠(たんけい)に横顔を照らされたまま、しばらく口を緘(つぐ)んでいたが、「若い女子(おなご)を、いつまで邸に止めおくのも、何かにつけ、気がかりなものだ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...伊織が、日に日に、成長してゆくにつけても、何かにつけ、思い出されていたのだが――「もう、夢のように、三年余りになる」武蔵は、城太郎の年を、心のなかで数えてみた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...此(この)後家を気の毒がつて何かにつけて力になつておやりでした...
若松賤子 「黄金機会」
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