...伝通院の前では町家の女(むすめ)が母親らしい女に伴(つ)られて来るのに逢った...
田中貢太郎 「花の咲く比」
...途中で小石川の伝通院前の赤門の家で占いの名人のあるということを想い出して...
徳田秋声 「足迹」
...夏の日ざしの強い伝通院前の広い通りを...
徳田秋声 「足迹」
...叔父(おじ)が伝通院(でんずういん)前にかなりな鰹節屋(かつぶしや)を出していた...
徳田秋声 「新世帯」
...伝通院(でんつういん)裏の沢蔵稲荷(たくぞういなり)の霊験(れいげん)なぞ...
永井荷風 「狐」
...伝通院地内(でんつういんちない)の末寺(まつじ)へ盗棒(どろぼう)が放火(つけび)をした...
永井荷風 「狐」
...私の幼い時の幸福なる記憶もこの伝通院の古刹を中心として...
永井荷風 「伝通院」
...伝通院へ送り込まれるものとは限りません...
中里介山 「大菩薩峠」
...再び伝通院の学寮を立ち出でた宇治山田の米友...
中里介山 「大菩薩峠」
...二人は伝通院(でんずういん)の裏手から植物園の通りをぐるりと廻(まわ)ってまた富坂(とみざか)の下へ出ました...
夏目漱石 「こころ」
...何でも月に二三返(べん)は伝通院(でんずういん)辺の何とか云う坊主の所へ相談に行く様子だ」「親類に坊主でもあるのかい」「なに坊主が小遣(こづかい)取(と)りに占(うらな)いをやるんだがね...
夏目漱石 「琴のそら音」
...今度は伝通院前迄来(き)た...
夏目漱石 「それから」
...今度は伝通院前(でんずういんまえ)まで来た...
夏目漱石 「それから」
...伝通院(でんずういん)の境内を逃げ廻った揚句(あげく)...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...伝通院(でんずういん)前の成瀬屋に忍び込んだ時は...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...嘗ての「伝通院」及び近業「来訪者」中の「冬の夜がたり」みな/\先生幼少の日の御自邸やその近隣の追憶ならぬはない...
正岡容 「巣鴨菊」
...黒の紋服に袴をつけて端然と坐っている姿は、如何にも美術学院刺繍科講師、刺繍組合理事の肩書に似合わしいけれども、その生活は、このりゅうとした構えほどでもなく、噂にきくと、伝通院近くの、まだ路地奥住いで、帯安あたりの店(たな)仕事に精を出しては、どうやら凌げるほどだということであった...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...登を伴れて伝通院の前まで歩き...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
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