...殿下はそこで御休息遊ばし、おもてなしをお受けなされまして、それより千本の桜、花園、桜田、ぬたの山、かくれがの松などを御覧遊ばし、芳野山梢の花のいろ/\におどろかれぬる雪の曙また関屋の花の木の下にて、芳野山誰とむるとはなけれども今宵も花のかげにやどらん関白殿のお歌には、木々は花苔路は雪と御芳野のわけあかぬ山の春の袖かな以下の公卿衆、大名衆、紹巴(しょうは)、昌叱などの方々も、めい/\短冊を染められまして、さてかねの鳥居、仁王門をお通りになり、蔵王堂へ御参詣なされ、南朝の皇居のあとをおとぶらいなされましてから、桜ヶ嶽、今熊野、たってん山、聖天山、弁才天山など、峰々の花をお眺め遊ばして、昔義経が暫く忍んでおりましたと云う吉水の城を御旅館にお充(あ)てなされました...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...内裏の女中衆が今熊野の観進猿楽を見物に出かけたことを叙して...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...これをこの土地では今熊野といって...
柳田國男 「日本の伝説」
...今熊野(いまくまの)の裏に...
吉川英治 「私本太平記」
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