...□こんな理屈を今更らしく云つた処で仕方がありませんが私はそれが一番いやなのです...
伊藤野枝 「編輯室より(一九一三年六月号)」
...今更らしく訊いた事があつた...
薄田泣菫 「茶話」
...(今更らしく自分の姿に眼をやつて苦笑する...
薄田泣菫 「独楽園」
...今更らしく申し上げるのも...
太宰治 「風の便り」
...今更らしく死んだ人を悲しむのでもなく妹の不幸を女々(めめ)しく悔やむのでもないが...
寺田寅彦 「障子の落書」
...小川郷太郎代議士は今更らしくこの点に就いて...
戸坂潤 「社会時評」
...わかり切った事に今更らしく理窟をつけ論文を書き演舌(えんぜつ)をなす天下泰平の遊戯冗談もここに至って窮状寧(むしろ)憐れまずんばあらず...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...あの道楽者が今更らしくこんな処へ絵なぞ描きに来るものか...
長與善郎 「青銅の基督」
...平次は今更らしく神妙に感心して見せるのでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...確(しか)としたことをきゝ度い」平次は今更らしくこんな事をたづねたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...間違いもなく下手人はわかるだろう」「まァ」内儀は今更らしく眼を見張ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...今更らしく非難の的となったわけなのです...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...今更らしく相手の顔にしげしげと見入った...
浜尾四郎 「正義」
...今更らしくゴソゴソやっていたが...
久生十蘭 「ノア」
...何にも云はずに立ちつて行く流俗が却つて幸福であることを今更らしく思つても見なければならなかつた...
平出修 「計畫」
...「俺達は余つ程どうかしてゐるぜ!」音田が今更らしく...
牧野信一 「まぼろし」
...そしてそれを書き正すのが文芸の一つの仕事であろうなどと今更らしく思うのでした...
吉川英治 「随筆 新平家」
...馴れたことだが今更らしく私は其處等の谷川や山や蒼穹(あをぞら)などを心うれしく眺めした...
若山牧水 「姉妹」
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