...今戸(いまど)の朝煙(あさけむり)...
泉鏡太郎 「大阪まで」
...あっしはこれから直ぐ今戸へ行かなけりゃならないんで...
海野十三 「白蛇の死」
...今戸の瑞光寺に埋葬してあった笛吹川の骨を掘り出したことに始ります...
海野十三 「赤耀館事件の真相」
...丁度向島の土手は、桜が満開で、青々と晴れ渡った麗らかな日曜日の午前中から、浅草行きの電車も蒸汽船も一杯の人を乗せ、群衆が蟻のようにぞろぞろ渡って行く吾妻橋の向うは、八百松(やおまつ)から言問(ことゝい)の艇庫(ていこ)の辺へ暖かそうな霞がかゝり、対岸の小松宮御別邸を始め、橋場、今戸、花川戸の街々まで、もや/\とした藍色の光りの中に眠って、其の後には公園の十二階が、水蒸気の多い、咽せ返るような紺青の空に、朦朧と立って居ます...
谷崎潤一郎 「幇間」
...『今戸心中』第一回の数行を見よ...
永井荷風 「里の今昔」
...一俳諧師(はいかいし)松風庵蘿月(しょうふうあんらげつ)は今戸(いまど)で常磐津(ときわず)の師匠(ししょう)をしている実(じつ)の妹をば今年は盂蘭盆(うらぼん)にもたずねずにしまったので毎日その事のみ気にしている...
永井荷風 「すみだ川」
...向河岸(むこうがし)へつくと急に思出して近所の菓子屋を探して土産(みやげ)を買い今戸橋(いまどばし)を渡って真直(まっすぐ)な道をば自分ばかりは足許(あしもと)のたしかなつもりで...
永井荷風 「すみだ川」
...天(あま)の川(がわ)の澄渡(すみわた)った空に繁(しげ)った木立を聳(そびや)かしている今戸八幡(いまどはちまん)の前まで来ると...
永井荷風 「すみだ川」
...見ずや木造の今戸橋(いまどばし)は蚤(はや)くも変じて鉄の釣橋となり...
永井荷風 「日和下駄」
...浅草も今戸橋場(いまどはしば)あたりの河岸である...
永井荷風 「向島」
...今戸(いまど)の有明楼(ゆうめいろう)の傍(そば)に着けたものだという...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...今では今戸に一戸を構えて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...隅田川流域――たつた一筋の東京をつらぬく川、むかしは武藏下總のなかを流れた大川筋の、武藏側の、今戸、橋場のさきには潮入村といふ名がある...
長谷川時雨 「河風」
...今戸の浜金の蓋物(ふたもの)をぶるさげたりして...
長谷川時雨 「旧聞日本橋」
...また富士横町に住んでいた狂馬楽は「註文帖」や「今戸心中」時代の吉原で...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...それから北は地方今戸...
山本笑月 「明治世相百話」
...「へい」「あの今戸焼の老人もやはり盗賊なのか」「なあに...
吉川英治 「江戸三国志」
...今戸(いまど)、馬道の四ツ角(かど)へきた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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