...透せば仄かに縁に見える...
石川啄木 「病室より」
...泰西渡来の鮮やかな花の色と仄かに漂っている香りとに酔っていたが...
海野十三 「深夜の市長」
...何となくたゞ仄かに暗い目を久しく病んで...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...仄かに空想を描いてゐるだけなの...
徳田秋聲 「彷徨へる」
...鉄柵の如きものが仄かに浮き出してき...
豊島与志雄 「高千穂に思う」
...仄かに織り込まれて...
豊島与志雄 「梅花の気品」
...もう朝夕は仄かに秋の気が感ぜられるような季節で...
豊島与志雄 「水甕」
...禿山の頂近くには一筋の土手のやうなものが仄かに見える...
長塚節 「才丸行き」
...カクメイとは北方に吹く風か……お釈迦様私はお釈迦様に恋をしました仄かに冷たい唇に接吻すればおゝもつたいない程の痺れ心になりまする...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...――一九二三・四――赤いスリッパ五月×日私はお釈迦様に恋をしました仄かに冷い唇に接吻すればおゝもったいない程の痺れ心になりまする...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...暖かい夜の大気のなかで仄かに揺曳する...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...月出でん湯檜曾(ゆびそ)の渓を封じたる闇の仄かにほぐれゆくかな月出でんで勿論切る...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...絵本ども病める枕を囲むとも母を見ぬ日は寂しからまし 人形は目開(あ)きてあれど病める子はたゆげに眠る白き病室仄かにも煙我より昇るとて君もの云ひに来給ひしかな恋を卒業した作者が今度は心を溌まして...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...仄かに眺められた灯が一つずつ消えて...
牧逸馬 「運命のSOS」
...そして現在だつて面白いことがあるといふ意味を仄かに知らせるつもりだつた...
牧野信一 「渚」
...薄藤色の桜草はやや疲れ仄かに花脈をうき立たせ乍らも心を蕩す優しさで薫りを撒く...
宮本百合子 「海辺小曲(一九二三年二月――)」
...花は仄かに猶呼吸(いき)づきぬ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...花壇より薔薇は仄かに香を挙げて人を辿へぬ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
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