...仄かに輝きそめた夕月が見えたりする...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...通信で仄かにそれと察してはゐたのであるが...
石川三四郎 「浪」
...雪燈(ぼんぼり)は仄かに玉のごとき頸(うなじ)を照らした...
泉鏡花 「婦系図」
...私は一人その時想像して何か仄かなぽーつとした聲で...
今井邦子 「佛法僧」
...たとへば遠く響いて來る場合も決して仄かなものではなく...
今井邦子 「佛法僧」
...仄かな明るみが大気のうちに湛えていた...
豊島与志雄 「蘇生」
...向うに仄かな明るみが見えていた...
豊島与志雄 「反抗」
...仄かな陰翳(かげ)が其処(そこ)から立昇り...
中島敦 「狼疾記」
...枕許には桃色(ピンク)のシェエドを被うたスタンド・ランプが仄かな灯を放ち...
西尾正 「陳情書」
...一筋の幅狹い仄かな光の中に...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...仄かに遠い山脈の雪が光つて...
萩原朔太郎 「宿命」
...――一九二三・四――赤いスリッパ五月×日私はお釈迦様に恋をしました仄かに冷い唇に接吻すればおゝもったいない程の痺れ心になりまする...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...暖かい夜の大気のなかで仄かに揺曳する...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...そこに仄かな青い光が差してきて...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...何か仄かな明るさを感じさせるのはそのことだけだつたが――?樽野は稍ともすれば熱つぽい吐息と一処にそんな意味の呟きを洩した...
牧野信一 「鶴がゐた家」
...でもこの巧緻なる日本通の画伯の点燈夫の図に蝙蝠の飛揚丈けは見られなかつたやういま仄かに記憶するが...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...花壇より薔薇は仄かに香を挙げて人を辿へぬ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...仄かにその筋道を知っていた...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
便利!手書き漢字入力検索