...洞穴の外部は徐(おもむ)ろに朝日の光を仄(ほの)めかせはじめる...
芥川龍之介 「誘惑」
...その温泉の町から折曲一つ折れて奥の院参道へあらたまる釣橋の袂へ提灯がふうわりと灯も仄白(ほのじろ)んで顕われた...
泉鏡花 「遺稿」
...加之(しか)も其著作した理由(いはれ)因縁を仄めかして持つて来たから嬢様も呆れてお了ひなすつた...
内田魯庵 「犬物語」
...泰西渡来の鮮やかな花の色と仄かに漂っている香りとに酔っていたが...
海野十三 「深夜の市長」
...今でも前のようやいうことそれとなしに仄(ほの)めかした...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...仄(ほの)かな光の世界へ蘇(よみがえ)ったと思うと...
徳田秋声 「縮図」
...道の標石は仄(ほの)白い反映を返していた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...その底に黒ずんだ色を湛えて仄白く光った水面を見せていた...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...突然空がぼうつと仄黄色く野の黒さから離れて浮上つたやうな感じがした...
中島敦 「盈虚」
...青い流に沿ひながら進んでゆけば仄暗い波も恥ぢ入るけはひです...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...その中に彼女を喜ばせるやうな物の入つた小さな箱が一つあると彼が仄(ほの)めかしておいたらしかつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...仄かな郷愁に似た感情の発芽であると云へるかも知れない...
正岡容 「根津遊草」
...仄に聞けば、頃日(このごろ)暴富の人があつて、一博士の書を刊せむがために数万金を捐(す)てたさうである...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...斯(かく)の如きの逼仄(ひつそく)なる天地...
山路愛山 「明治文学史」
...仄暗(ほのぐら)い安全燈(ラムプ)の光りを白々と...
夢野久作 「斜坑」
...仄(ほの)かにわきまえられて参った...
吉川英治 「三国志」
...一手の試合を望んでいるらしい気ぶりも仄見(ほのみ)えるのである...
吉川英治 「宮本武蔵」
...仄(ほの)暗い山門の下を潜った...
吉川英治 「山浦清麿」
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