...おぬしに殺されそくなった、人でなしじゃよ...
芥川龍之介 「偸盗」
...盗品の勘定をしている男! なんという人非人! 犬畜生の人でなし! 人間の血も心も失い切った蛇(へび)のような男!そしてその瞬間嬢には今日までどうしても飲み込めなかったあの不思議な謎(なぞ)が...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...さぞせいせいするでしょうよ! この人でなし! (退場)スミルノーフ あの女...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「熊」
...少なくとも君を人でなしの罪人と責め立てる者はここにいない...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「三枚の学生」
...われながらつくづく人でなしだと思いますよ...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...眼は上(うわ)ずり、口はひきつって、「お、お、おじさん……お前は畜生を、人でなしを、生きたけだものを、家へ連れて来て、葬式をなさるそうだ、わ、わ、わしが不承知だ、わしが不承知だ」二十二この声で、満堂のお通夜の客が、一時に、そちらに眼を集めると、血相を変えて立っている若い男は、これも、この家には一族に当る角之助という江名子村(えなこむら)の山持ちの息子でした...
中里介山 「大菩薩峠」
...「お、お、おじさん、こ、この死人というのは、人間じゃござんせんぜ」「ナ、ナ、何を言わしゃるのだ、皆様もきいてござるに」「何を言うものか、そ、そ、そこに、長い箱に寝そべっている、そりゃ何者じゃ」「仏(ほとけ)じゃわい、阿房(あほう)言うな」「仏、仏、おかしいわい、けがらわしい、そ、そ、そんな仏があるかい、畜生じゃ、畜生じゃわい」「ナ、ナ、何を言いくさる、おぬし、気が違ったか」「気は違やせんわい、お、お、おじさん、お前が気が違ったろう、お前ばかりじゃない、ここへ集まる、皆さんが、みんな気が違っていなさるのじゃわ」「ナ、ナ、ナ、ナニを御無礼なことを言わっしゃる、わ、わしはいいが、皆様を気違いじゃとは、そのおとがい――……」「気違いでなくて何じゃ、この、この人でなしは、この家へ入れるべきもんじゃない、皆様、皆様も、こんな人でなしの畜生のために、なに、御回向(ごえこう)がいろうぞい、おかしいわい、臍(へそ)がよれるわい」「わりゃ、わりゃ、まだぬかすか、ほんとうに慢心じゃ、ほんとうに気違いじゃ」「いいや、わしは気は狂わぬ、この人でなしをここへ連れて来た者が狂っている、ここへ集まった者は性根(しょうね)が腐っている」「まだ言うか、われ、そのおとがいを打砕(ぶっくだ)いてくれる」「砕けるものなら砕いてもらおうわい、その前にわしが言うことを聞いて置きや、この仏、仏ではない、人でなし、地獄、畜生婆あはこの川杉屋で何をしたか、皆様、知ってござろう...
中里介山 「大菩薩峠」
...人でなしをかばうは人でなし...
中里介山 「大菩薩峠」
...この人でなしに彼女はこんなこと言えるかね...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...お艶ちゃんはあんな人でなしだし...
正岡容 「寄席」
...「何だと! 迷惑だと! 人でなし! てめえが...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...こんな人でなしの奴を出したんですから...
三好十郎 「その人を知らず」
...こちとらあ黙って見ちゃあいられねえんだ」「うぬのような人でなしはな」とべつの男が云った...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...「あんたの云うとおり、あたしはこうしなければならないからしているのよ、そのためには初めから自分の命を賭(か)けているの」とおしのはひそめた声でゆっくりと云った、「――でもね、世間からみれば、あたしのしていることはたいへんな罪で、人でなし、毒婦、鬼、なんと云われるかもしれないの」おまさの唇がひらき、小さな、白い、並びのいい歯が見えた...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...間違っているばかりではなく人でなしと云ってもいいと思います」「ちょっと...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...「こんなことを云うと人でなしのようだけれど」と或るときさぶが呟(つぶや)いた...
山本周五郎 「さぶ」
...不忠者の人でなしっ...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...何時も『人でなしの希望』に...
蘭郁二郎 「鉄路」
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