...お仏壇は、蔦ちゃんが人手にゃ渡さねえ、と云うから、私(わっし)は引背負(ひっしょ)って、一度内へ帰(けえ)ったがね、何だって、お前さん、女人禁制で、蔦ちゃんに、采(さい)を掉(ふら)せねえで、城を明渡すんだから、煩(むず)かしいや...
泉鏡花 「婦系図」
...凡ての謎はあのベッドの中に隠されているのです」明智は云ったかと思うと...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...食えないようにして捨てたと云われては困るから...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「魔性の女」
...撰科生は卒業しても何の称号も貰へぬとか云ふことに定めてあるが...
丘浅次郎 「落第と退校」
...何でもその方と云うのは医学博士で...
谷崎潤一郎 「細雪」
...幾度か母に逢いたいと云う望みを洩らしたことがあったが...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...こう云う事があるかも知れない―――ぐらいな覚悟は案外ついているかとも思う」「それなら尚更(なおさら)話すのに楽じゃないか...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...然しトルストイは最後の一息を以ても其理想を実現すべく奔騰(ほんとう)する火の如き霊であると云う事が...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...あんなことを云つてらあ……だつてお父さんセルロイドとエボナイトとは違ひますよ」なんて五つ六つの子供に云はれて...
中原中也 「音楽と世態」
...旅順へ参るようになったもので御座んすから」「それじゃ当人も貰うつもりでいたんでしょう」「それは……」と云ったが...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...誰も出したくはないじゃありませんか」梅子の云う所は実に尤(もっと)もである...
夏目漱石 「それから」
...一層(いっそ)洋行する気はないかと云われた...
夏目漱石 「それから」
...代助と云う第三者が点ぜられたがために...
夏目漱石 「それから」
...型録を指差しながら彼に云つた...
牧野信一 「F村での春」
...そう云う、そして、お湯がもうお浴びになれるのかしらんと考える...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...結構ですよ」と七十郎が云った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...「――御出頭なさる」「里見老は思いすごしている」と七十郎は云った、「いちど裁決されたものを、そう簡単に変えられるものではない、もちろんそれだけの覚悟はしなければなるまいが、とにかく出頭してみたうえのことだ」「そうきまったのですか」「ほかに手段があるか」靱負は、いや、と首を振り、いかにも安堵(あんど)したというふうに、深い溜息をついて、これでようやくおちつきました、と云った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...その証拠を御覧に入れましょうか」紅矢はお婆さんからこう云われても...
夢野久作 「白髪小僧」
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