...遠近(をちこち)で二番鶏が勇ましく時をつくる...
石川啄木 「天鵞絨」
...いつ一番鶏二番鶏が啼いたのであろう」私は画室の障子がだんだん白みを加えてゆくのを眺めながら昨夜の夢中な仕事を振り返るのであった...
上村松園 「健康と仕事」
...二番鶏の声も聞え...
橘外男 「逗子物語」
...昨日(きのう)からかまえをして今朝(けさ)は今朝で二番鶏(どり)から起きて来ておりますし……」と...
田中貢太郎 「岩魚の怪」
...緒口(いとぐち)が立てば大丈夫じゃ」六権兵衛は二番鶏を聞いて起きた...
田中貢太郎 「海神に祈る」
...二番鶏(どり)時分から風になるよ...
田中貢太郎 「参宮がえり」
...近くの部落あたりかららしい二番鶏(にばんどり)の声をきいていた...
徳永直 「冬枯れ」
...眼のさめた時に二番鶏がしきりに鳴いていました...
中里介山 「大菩薩峠」
...もう二番鶏だと言いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...お前さんはそうして、仕返しだか、出稼ぎだか、何だか知らないが、気忙(きぜわ)しく出かけてしまって、置いてけぼりのわたしはいったい、どうなるんだよ、路用はいただいたが、これから、どこへ出向いて、どこで待っていてあげりゃいいのさ、ちっとは相談もあるじゃないか」「違えねえ――お前はこれから、明日の朝になって、ここの勘定を済ましてから、なにげなく上方(かみがた)へ向って旅立ちな――さよう、草津か、大津か――そんなところでは人目にかかる、こうと、いいことがある、少々道を曲げて石部(いしべ)の宿(しゅく)なんざあどうだね、石部の宿の仮枕なんざあ悪くあるめえ」「乙だね」「石部には大黒屋という宿がある、あれへ行っておとなしく泊っていな、明日の晩までにはおいらが大物を一つ料(りょう)って、石部の宿のお前のところまで駈けつけよう」「じゃ、そうしておくれ」「合点だ」「寒い!」お蘭どのが、わざとらしく肩をすぼめて、暁の風が身に沁(し)みるという風情をして見せると、「寒かあ寝なな」一番鶏か、二番鶏の音が、関のこなたで声高く聞える...
中里介山 「大菩薩峠」
...一番鶏(どり)が唱(うた)い二番鶏が唱い...
二葉亭四迷 「浮雲」
...朝々一番鶏二番鶏とうたい出す彼の声は...
正岡子規 「病牀苦語」
...『俳諧二番鶏』元禄十五年印本了我撰...
南方熊楠 「十二支考」
...二番鶏(にばんどり)の鳴くころであった...
森鴎外 「最後の一句」
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