...即座に二分金の耳を揃(そろ)えて三万両を出したそうだ...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...蒲焼を取って二分金で払ったとか...
野村胡堂 「黄金を浴びる女」
...二分金のあることを思い出し...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...二分金を売れば、当町でも母子(おやこ)一ヶ月の生活費位にはなった筈ですから、それがせめても貧乏な文学青年の、十三歳の納豆売に寄せた、ささやかな好意でした、――いや調子に乗って、飛んだことを申上げて、赤面に堪えません」詩人江守銀二は、そう言って漸く席に着いたのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...何んと古風な二分金をそのまま使ってあるではありませんか...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...「間違いなんかいたしません、百八十五円(え)ン」事面倒と見て、切口上にまくし立てる女給の前へ、かくしから掴み出した、金銀銅銭をザラリと撒いて、「サア、この中から好きな丈(だ)け取ってくれ」「アッ」女給は驚いたわけ、その一(ひ)と掴みの金銀銅銭というのは、悉(ことごと)く古銭ばかり、小判、二分金、一朱銀、天保銭から、文久銭、駒曳銭(こまひきぜに)もあれば、永楽銭もあるという有様、選(よ)りわける迄(まで)もなく、今日通用する金は一枚も交っては居ません...
野村胡堂 「古銭の謎」
...駕籠の中の客も、少し懐ろが怪しくなったのかと思うと、京橋を渡ったところで落したのは、二分金が一枚...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二「親分、これ何と判じたものでしょう?」ガラッ八の八五郎は銭形平次の前へ、前夜日本橋から芝、田町までの間に拾った南鐐(なんりょう)、小判、飾(かざ)り櫛(ぐし)、四文銭、二分金、簪(かんざし)、懐中鏡――と畳の上へ並べて行ったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――その方は二分二朱と十六文――こいつは二分金が入つて居るから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...切餅(きりもち)に代へてくれと申すんだ相です」「?」二分金五十枚包は丁度切り餅の恰好になるので...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...二分金一枚借りると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兎も角も、その紙入の中に小さい名札があつて、『阿倍川町久ら』とあつたんで、それを頼りに行つて見ると――」「待つてくれ、その紙入に金は入つてなかつたのか」「小判が一枚と、二分金と、あとは四文錢が少しばかり」「何處ですつたんだ」「相濟みません」「詫びなんか聽き度くない、すつた場所が知り度いのだよ」八五郎の聲は、少し尖(とが)りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...二分金一枚を載せて出すのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...私はその時二分金(にぶきん)で百両か百五十両持(もっ)て居たから...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...今橋筋には二分金(にぶきん)が道にばら蒔(ま)いてあつた...
森鴎外 「大塩平八郎」
...それには二分金がはいっていたそうである...
森鴎外 「細木香以」
...その小判や二分金の音に混って...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
便利!手書き漢字入力検索