...その大胆不敵は俺たちの亀鑑(きかん)とされていた...
高見順 「いやな感じ」
...しかし、民衆だって、ずるくて汚くて慾が深くて、裏切って、ろくでも無いのが多いのだから、謂(い)わばアイコとでも申すべきで、むしろ役人のほうは、その大半、幼にして学を好み、長ずるに及んで立志出郷、もっぱら六法全書の糞(くそ)暗記に努め、質素倹約、友人にケチと言われても馬耳東風、祖先を敬するの念厚く、亡父の命日にはお墓の掃除などして、大学の卒業証書は金色の額縁にいれて母の寝間の壁に飾り、まことにこれ父母に孝、兄弟には友ならず、朋友(ほうゆう)は相信ぜず、お役所に勤めても、ただもうわが身分の大過無きを期し、ひとを憎まず愛さず、にこりともせず、ひたすら公平、紳士の亀鑑、立派、立派、すこしは威張ったって、かまわない、と私は世の所謂お役人に同情さえしていたのである...
太宰治 「家庭の幸福」
...どうしたら」「人の亀鑑になる者だ...
田中貢太郎 「春心」
...苟(いやしく)も人の亀鑑(てほん)になる家のことだ」「ではございましょうが...
田中貢太郎 「春心」
...人の亀鑑(てほん)になる家のお媽(かみ)さんが...
田中貢太郎 「春心」
...「ママは貞女の亀鑑(きかん)というわけね」と敏子はくやしそうな顔に冷笑を浮かべた...
谷崎潤一郎 「鍵」
...敏子に云わせれば「ママは貞女の亀鑑」なのだそうで...
谷崎潤一郎 「鍵」
...この証人の示した気高い亀鑑は...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...それを一世の亀鑑として賞せられる伝統が...
豊島与志雄 「都会に於ける中流婦人の生活」
...あっぱれ人間の亀鑑とすべき言行をするので...
新渡戸稲造 「教育の目的」
...すなわち池田亀鑑(いけだきかん)氏の調査によれば...
橋本進吉 「駒のいななき」
...『歴年亀鑑(きかん)』...
森鴎外 「渋江抽斎」
...美の亀鑑(きかん)として仰がれるのである...
柳宗悦 「民藝四十年」
...小粒ながら黒田武士の亀鑑(てほん)じゃ...
夢野久作 「名君忠之」
...人の亀鑑(きかん)ともいわれる士大夫を...
吉川英治 「三国志」
...武人の亀鑑(きかん)を」と...
吉川英治 「三国志」
...武士の亀鑑(きかん)だなどとそやされたひには...
吉川英治 「八寒道中」
...これらはすべて池田亀鑑(いけだきかん)氏「枕草子の形態に関する一考察」に従ったのである...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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