...それも唾(つば)が乾くか...
泉鏡花 「婦系図」
...お前達は湿れたハンカチが暑い日には早く乾くが...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...溝(どぶ)の日に乾く臭(にほひ)と物の腐る臭(にほひ)と沈滞した埃(ほこり)の交(まじ)つた空気の臭(にほひ)とが凄(すさま)しく鼻を衝(つ)いた...
田山花袋 「父の墓」
...というような絶えまない恐怖に苛まれて涙の乾くひまもなかった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「頸の上のアンナ」
...別の袖に別れの袖にふりかゝる清き涙も乾くらむ血汐も湧ける喜の戀もいつしかさめやせむ物皆移り物替るわが塵の世の夕まぐれ仰げば高き大空に無言の光星ひとつ...
土井晩翠 「天地有情」
...五分間で火熨斗(ひのし)をした様に奇麗に乾く...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...「玉ちゃん、さあ着物を脱ぎねえ」大きな樅(もみ)の木の下、岩角が自然と洞(ほら)になっているところ、米友はそこを見出して自分が先に荷物を卸(おろ)して、「ここなら誂(あつら)え向き、その木と木の間へいま梁(はり)をこしらえるから、そこへ着物をかけて乾かしておけば、着物の乾く間、それが屋根にならあ」立枯(たちがれ)の木をへし折って、それを蔓(つる)で結(ゆわ)えて干場(ほしば)を拵(こしら)える...
中里介山 「大菩薩峠」
...乾くとかんかんの盤になって...
中谷宇吉郎 「コロラド通信」
...熱い湯から取り上げた皿は、しばらく並べておくと、簡単に乾くので、すぐ食器棚に納められる...
中谷宇吉郎 「捨てる文化」
...乾くのは真夏の一と月か二た月だけ――この通り溝(どぶ)は腐って...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...夜は五時から八時迄だから、われ/\は不自由此の上なし)サイダーも売ってゐないので、のど乾く...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...また春の始めらしく軽く乾く...
宮本百合子 「毛の指環」
...また乾くと埃で烟るやうな道路を暑い日に...
室生犀星 「星より來れる者」
...あまり暑くて咽(のど)が乾くので...
柳田国男 「年中行事覚書」
...線描が乾くと着彩するのであるが...
山本周五郎 「山彦乙女」
...御涙(おんなみだ)の乾く時もなく沈んでおられた...
吉川英治 「三国志」
...水の乾くように、徐々兵数を減じて、後退させていた...
吉川英治 「三国志」
...微熱のせいか、口が乾く...
吉川英治 「新書太閤記」
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