...陣頭の自ら乱るゝを禁ずる能はざりき...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...おどろおどろ海草の乱るるあたりは...
泉鏡花 「悪獣篇」
...山風にこそ乱るべらなれ」と詠じ...
高木敏雄 「比較神話学」
...雨はげしく井戸端の柳の糸乱る...
田山花袋 「田舎教師」
...だから仮に右翼団体が治安を乱るとしても...
戸坂潤 「社会時評」
...慾望、郷愁、跳躍、願い、いかなれば?月に、星に、鶯に、春に、太陽の光に、春の歌、春の快楽、春の会釈、春の旅、春の夜、春の使い、愛の声、愛の言葉、愛の悲しみ、愛の精、愛の豊満、花の歌、花の文、花の会釈、心の痛み、吾が心重し、吾が心乱る、吾が眼曇る、または、小薔薇(ばら)や小川や雉鳩(きじばと)や燕(つばめ)などとの、仇気(あどけ)ない馬鹿げた対話、または、次のようなおかしな問い――野薔薇に刺がなかりせば、――老いたる良人と燕は巣を作りしならば、あるいは、近き頃燕は婚約したりしならば...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...乱るゝ情緒(じやうしよ)に悶(もだ)えても其れを発表すべく其れを訴ふべき音楽を持つて居ない国民であるのだ...
永井荷風 「黄昏の地中海」
...はじめの年位は心を乱ることがなくよく行い済ませましたが...
中里介山 「法然行伝」
...乱るるなと畳める鬢(びん)の上には...
夏目漱石 「虞美人草」
...春を限りと乱るる色は甲斐甲斐(かいがい)しくも豊かである...
夏目漱石 「虞美人草」
...乱るる笑顔を肩共に落す...
夏目漱石 「虞美人草」
...思い乱るる桜子の膝の上へ...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...荻の葉を吹き棄てて行く風の音に心乱るゝ秋の夕暮 後鳥羽院のは一段とすぐれてゐる...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...獅子の猛なるとは 春短し何に不滅の命ぞと力ある乳を手に探らせぬ であり 我を問ふや自ら驕る名を誇る二十四時を人をし恋ふる であり かざしたる牡丹火となり海燃えぬ思ひ乱るゝ人の子の夢 である...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...あきらめあまりに美(は)しきものらゆきかよへばこころ乱るると云ふかみそぢ越えしものの止むなきあきらめわがうへにも乗りうつり美(は)しきものを忘れゆくあさに夕なに...
室生犀星 「忘春詩集」
...金殿の中に思い乱るる彼の心の憂いを払いつくすには足らざるなり...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...美しく血走りたる眥(まなじり)を輝やかしつゝ乱るゝ黒髪...
夢野久作 「白くれない」
...萩(はぎ)の乱るる垣根越しに白い横顔――下婢(かひ)を連れてたたずんだのが...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索