...すると芸術を尊重する仏蘭西(フランス)に生れた文学者も甚だ清閑(せいかん)には乏しい訣(わけ)である...
芥川龍之介 「澄江堂雑記」
...殊に社会的訓練の経験に乏しいわが国に於て...
石原莞爾 「最終戦争論」
...乏しい歳入に対してこれ以上の節約だとかなんだとかが...
犬田卯 「瘤」
...特別な割合乏しい施設である劇場や音楽堂までわざわざ足を運ばずに之を耳にすることが出来る...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...乏しい蟇口の底をはたいて...
豊島与志雄 「神棚」
...当世はやりの表情には乏しいので...
永井荷風 「申訳」
...西から北へかけては樹木に乏しい丘陵性の山々が連なっているばかり...
中島敦 「李陵」
...水に乏しい国アメリカでは...
中谷宇吉郎 「アメリカの沙漠」
...そして暖かい伊豆のいで湯に浸りながら漸くに貯えた乏しい生命を...
中谷宇吉郎 「雪後記」
...のみならずこれからやる中味と形式という問題が今申した通りあまり乾燥して光沢気(つやけ)の乏しいみだしなのでことさら懸念(けねん)をいたします...
夏目漱石 「中味と形式」
...年のいかない、学問の乏しい、見識の狭い点から見ると気の毒と評して然(しか)るべき彼女は、頭と腕を挙げて実世間に打ち込んで、肉眼で指(さ)す事のできる権力か財力を攫(つか)まなくっては男子でないと考えている...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...両民族とも功利活用の才能に乏しい...
新渡戸稲造 「東西相触れて」
...どこか力弱く美に乏しいのは...
柳宗悦 「工藝の道」
...概して中部以南のものは特色に乏しい...
柳宗悦 「蓑のこと」
...そうして変化が乏しい故に...
柳田国男 「木綿以前の事」
...無経験な若い自分の思案と、乏しい家計で、ともかくもここまでこぎつけることができた、亡き父や母もたぶん満足して下さるだろう、そして妹たちも、いつかは姉の苦労がどのようなものだったかということを知って、感謝して呉れるときがあるに違いない、そう信じてきたのであった...
山本周五郎 「日本婦道記」
...僅か二人ずつのぞくので興行価値に乏しいため...
山本笑月 「明治世相百話」
...義仲史料は極めて乏しい...
吉川英治 「随筆 新平家」
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