...或は又その外にも気持の余裕に乏しい為である...
芥川龍之介 「鸚鵡」
...色気に乏しい慾気ばかりの中年の女給がひとりばかりいるものであるが...
太宰治 「逆行」
...乏しい窓の明りの方へ向けながらそれを一と通りあらためた上で懐に入れた...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...カント哲学の欠点は統一と体系とに乏しいことに存する...
戸坂潤 「辞典」
...物質的には乏しい生活をしているが...
豊島与志雄 「運命のままに」
...壮助は自分の乏しい知識と常識とから首肯出来た...
豊島与志雄 「生あらば」
...薄暗くて――乏しい光と...
直木三十五 「三人の相馬大作」
...鉱石の中から乏しい金属を抽出するように...
中島敦 「狼疾記」
...高い方へ引くだけの精気に乏しいので...
夏目漱石 「思い出す事など」
...やや魅力に乏しい...
野村胡堂 「楽聖物語」
...乏しい黒い部落を浮べた小さな丘が見えて来た...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...我が人口はその乏しい耕作の限界以内に圧縮され...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...天真の軟らかみが乏しいとも云えよう...
宮本百合子 「気むずかしやの見物」
...かの女にはこういう他人から呼び止められた経験に乏しいらしかったのであろう...
室生犀星 「幻影の都市」
...乏しい炭をまるで劬(いたわ)るように使うあの火桶ひとつでは...
山本周五郎 「日本婦道記」
...乏しい粟(あわ)と...
吉川英治 「新書太閤記」
...自分の乏しい記憶を辿れば...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...さうなると植物上の知識の乏しいのをも悲しまねばならぬことになるが...
若山牧水 「鳳來寺紀行」
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