...久しい間唯求めるばかりで感ずることが出來なかつた神の近接(ネーエ)を感じ得たやうな氣がして來た...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...久しい間に又は無論斯様な事も沢山あったろう...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...久しい以前、やはり秋に来た折のこと、この店に枯木のようなお婆さんが袖無し羽織を着て、蹲(うずくま)るように坐って居たが、今はもう其の人の姿も見られない...
岩本素白 「六日月」
...「お前さんの紙漉も久しいもんだね」「駄目だよ...
徳田秋声 「あらくれ」
...ああ この暗愁も久しいかな!我れまさに年老いて家郷なく妻子離散して孤獨なりいかんぞまた漂泊の悔を知らむ...
萩原朔太郎 「氷島」
...養父が死にでもして、財産税、土地家屋税、それに伴う、厖大な都民税のついてまわる大邸宅が、肩にかかってくるようになったら、どう繰りまわしをつけようかと、久しい以前から、苦の種になっていた...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...久しい親しみがあると云つても...
平出修 「夜烏」
...わたしは坪田氏の作品は可成り久しい前から...
牧野信一 「痩身記」
...それがズットの昔に琉球へ渡り琉球から薩摩に来て九州南部では久しい間これを栽えていた...
牧野富太郎 「植物記」
...是れ、久しい間、彼が頭の中に籠つた大問題である...
三島霜川 「平民の娘」
...泉物語の詩の話も久しいことしませんでした...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...私は品川に於ける綱宗を主人公にして一つの物語を書かうと思つて、余程久しい間、其結構を工夫してゐた...
森鴎外 「椙原品」
...私は久しい間、朝鮮の藝術に対して心からの敬念と親密の情とを抱いているのである...
柳宗悦 「朝鮮の友に贈る書」
...絶えて久しい播磨屋千六と...
夢野久作 「名娼満月」
...大岡十家はのこらず閉門禁足の久しい厄に封じ込まれて...
吉川英治 「大岡越前」
...また、陳倉道の口に残って、久しい間、魏の猛将王双をそこに支えていた魏延は、孔明の書簡に接すると、これもたちまち、陣払いを開始していた...
吉川英治 「三国志」
...久しい間信ぜられていた根本の宇宙観であり...
吉川英治 「三国志」
...愚痴(ぐち)も泣き言もいえずにじっと歯の根を噛んでる姿はすでに久しいものがある...
吉川英治 「新・水滸伝」
便利!手書き漢字入力検索