...姫は、赤地錦の帯脇に、おなじ袋の緒をしめて、守刀(まもりがたな)と見参らせたは、あらず、一管の玉の笛を、すっとぬいて、丹花の唇、斜めに氷柱(つらら)を含んで、涼しく、気高く、歌口を――木菟(みみずく)が、ぽう、と鳴く...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...夢見るような瞳は夜(よ)の華か! 丹花の唇はほのかに綻(ほころ)び...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...丹花の唇(くちびる)は厳恪(げんかく)にふさぎたれどもたけからず...
三宅花圃 「藪の鶯」
...「無礼しやるなッ」丹花の唇を洩れた御方の威ある声音...
吉川英治 「剣難女難」
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