...しかしこの「仙人」だけは世間並みにだんだん年をとり...
芥川龍之介 「仙人」
...俸給はだいたい世間並みに標準の下にあって...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...いわば世間並み、普通の事をやっていたというに過ぎなかったが、とにかく、その翌年再び受験してみると、成績は案外によかったらしいので、一年飛び越し、いちずに二年級にはいることができた...
寺田寅彦 「わが中学時代の勉強法」
...歳は若くても世間並みの女達に還ってはならない...
富田常雄 「刺青」
...自分は世間並みの挨拶質問には實際もう閉口しきつて居る...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...世間並みの土地とは違うんだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...世間並みの盲目(めくら)のように不自由な思いは致しません」「それでも...
中里介山 「大菩薩峠」
...世間並みのお方でございますと...
中里介山 「大菩薩峠」
...これまたその手つきのあざやかさに、またも関守氏の舌を捲かせ、「うまいもんだ」と言って、思わず感歎すると、がんりきは、こんなことは小手調べの前芸だよと言わぬばかりの面をして、「本来は、この壺皿を左の手にもって、右で振込むやつをこう受取るんでげすが、手が足りねえもんですから、置壺(おきつぼ)で間に合せの、まずこういったもので、パッと投げ込む、その時おそし、こいつをその手でこう持って、盆ゴザの上へカッパと伏せるんでげす、眼に見えちゃだめですね、電光石火てやつでやらなくちゃいけません」左で為(な)すことを右でやり、右で行うことを、また引抜きで左をつかってやるのだが、一本の手をあざやかに二本に使い分けて見せる芸当に、関守氏が引きつづき感心しながら、膝を組み直し、「まあ、委細順序を立ててやってみてくれ給え、ズブの初手(しょて)を教育するつもりで、初手の初手からひとつ――いま言ったその盆ゴザというのは、いったいどんなゴザなんだ、バクチ打ち特有のゴザが別製に編ましてあるのか、いや、まだそのさきに、この場では湯呑が代用のその本格の壺というやつの説明も願いたい」「壺でげすか、壺は、かんぜんよりでこしらえた、さし渡し三寸ばかりのお椀(わん)と思えば間違いございません、雁皮(がんぴ)を細く切ってそれを紙撚(こより)にこしらえ、それでキセルの筒を編むと同じように編み上げた品を本格と致しやす、それから盆ゴザと申しやしても、特別別製に編ましたゴザがあるわけではございません、世間並みのゴザ、花ゴザでもなんでもかまいませんよ、それを賭場(とば)へ敷き込んで、その両側へ丁方と半方が並びます、そうすると壺振が、そのまんなかどころへ南向きに坐り込むのが作法でござんさあ」「まあ、待ち給え、いちいち実物によって……時節柄だから代用品で間に合わせるとして、ここにゴザがある」と言って関守氏は、つと立って、なげしの上から捲き込んだ一枚のゴザを取り出して、それをがんりきの前で展開しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...世間並みの肩身を広くさせてやることができない...
中里介山 「大菩薩峠」
...世間並みの大麦や小麦と違って...
中里介山 「大菩薩峠」
...世間並みのよく肥(ふと)った娘でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ごく世間並みの感情が私を支配し出した...
堀辰雄 「菜穂子」
...そうして私は気を引き立てるようにしてあの方と世間並みの挨拶などを交わしているうちに...
堀辰雄 「菜穂子」
...ごく世間並みの感情が私を支配し出した...
堀辰雄 「楡の家」
...袴着(はかまぎ)はたいそうな用意がされたのでもなかったが世間並みなものではなかった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...世間並みの一時的な感情で御交際を求める男と同じように私を御覧になるのではありませんか...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...世間並みな幸福を得させようとしてすることも...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
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