...自分の察しが至らぬ爲に不知不識其神經を無視することはあらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...崇拜者の歡呼に浮かされて不知不識いゝ氣になつて納まつて了ふことは先輩に與へられる誘惑の一つである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...そのために不知不識自分自身を過信(オーヴアーエスチメート)するやうな事は或はないとも云へないだらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...不知不識(しらずしらず)の間に爲政者の商工偏重の政策と對照して...
石川啄木 「農村の中等階級」
...不知不識の間に心気自ら大きくなり...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...景淨不識梵文...
イー、エー、ゴルドン 高楠順次郎訳 「弘法大師と景教との關係」
...自分たちの高貴な人間性も不知不識に失なっていた...
田中英光 「さようなら」
...かく色々と疑い得らるる原因を数えて来れば早晩春琴に必ず誰かが手を下さなければ済まない状態にあったことを察すべく彼女は不知不識(しらずしらず)の裡(うち)に禍(わざわい)の種を八方へ蒔(ま)いていたのである...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...それを掘込んで行くときに結局不知不識(しらずしらず)に自分自身の体験の世界に分け入ってその世界の中でそれに相当するつながりを索(もと)めることになります...
寺田寅彦 「書簡(※[#ローマ数字2、1-13-22])」
...物を観察したり書いたりしている態度――仕事の上の一種のポーズ――それの不知不識の現れから起るのではあるまいか...
豊島与志雄 「傍人の言」
...父母が面白をかしく不知不識...
新渡戸稻造 「教育の目的」
...不知(しらず)不識(しらず)自分も矯激な言動をするやうになつた...
平出修 「計畫」
...Ignorantia juris non excusat.法の不識は免(ゆる)さず...
穂積陳重 「法窓夜話」
...そしてその詩は「何年植向仙壇上、早晩移植到梵家、雖在人間人不識、与君名作紫陽花」(何ンノ年カ植エテ向フ仙壇ノ上(ホト)リ、早晩移シ植エテ梵家ニ到ル、人間ニ在リト雖ドモ人識ラズ、君ガ与(タ)メニ名ヅケテ紫陽花ト作(ナ)ス)である...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...不知不識詠嘆的になり勝であるが...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...「まあ勘次はそこで、坐っていて呉れればいいや、おめえが饒舌って源兵衛さんに泣かれていちゃあ寄合が流れちまう、……不識先生、なにかこれに就いて卦(け)は立たねえかい」「さればさ、さればこの件だが」不識先生は、顎髯(あごひげ)をしごいて云った、「儂がみたところ、家主吾助に憑いておるのは天一坊であるな」「ええっ、天一坊ですかい」「かの仁が家柄血統を調べるときの言動、仔細に考うるに天一坊じゃ、天は上にあり地は下にある、人間はその中間にあって、火風水木金土がこれを、……あれじゃ、そのなにしておる、じゃによって天一坊とてその自然の律動循環の理は動かせぬ、じゃが、あれは実は将軍家正統の御落胤であったという流説で」「そんな子曰(しのたま)わくを云ったってわからねえ、もっとわかるように絵解きをしてやって呉んねえ」「さればさ、そこで家主吾助としてはじゃ、仮にもこの長屋にじゃな、天一坊めいた人間がいるかどうか、いるとすれば天地人、これはもうなんじゃ、吾助として繩屋どころの騒動ではない、かの山内伊賀之亮、赤川大膳、常楽院……などはいけない、かれらは獄門になった、じゃが獄門にならぬほうの山内や大膳になれるか知れぬ、そこじゃて、……常楽院でもいい、家主吾助としては莫大(ばくだい)な出世であるし、かのごうつく並びに臼においても」「そいつだ、まちげえなし」銀太がまるっこい膝頭を叩いた、「禿のよまいごととぴったり合う、そいつですよ先生」列席の同志はみな頷き、声々に不識斎先生の卦を肯定した...
山本周五郎 「長屋天一坊」
...読みかけの「剣術不識篇」を懐(ふところ)に納めて...
吉川英治 「剣難女難」
...懐(ふところ)から前の「剣秘不識篇」の古書と矢立をとり出し...
吉川英治 「剣難女難」
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