...――若しくは奉仕することによつて自我の本質が肯定さるゝ悦びを不知不識自己の内面に感ぜざる限り...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...そのために不知不識自分自身を過信(オーヴアーエスチメート)するやうな事は或はないとも云へないだらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...不知不識(しらずしらず)の間に爲政者の商工偏重の政策と對照して...
石川啄木 「農村の中等階級」
...明(みん)の万暦(ばんれき)の初(はじめ)中(みんちゆう)連江といふ所の人蛤を剖(わり)て玉を得(え)たれども不識(みしらず)これを烹(に)る...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...不知不識其の豐富なる語類成句に習熟することを怠るべからず...
テニソン Tennyson 菅野徳助、奈倉次郎訳 「アーサー王物語」
...それを掘込んで行くときに結局不知不識(しらずしらず)に自分自身の体験の世界に分け入ってその世界の中でそれに相当するつながりを索(もと)めることになります...
寺田寅彦 「書簡(※[#ローマ数字2、1-13-22])」
...物を観察したり書いたりしている態度――仕事の上の一種のポーズ――それの不知不識の現れから起るのではあるまいか...
豊島与志雄 「傍人の言」
...不知不識にのぞきだすのであろう...
豊島与志雄 「傍人の言」
...水縁に臨む)唱出俳壇新韵鐸(俳壇に唱へ出す新韵(しんゐん)の鐸(たく))声々喚起百年眠(声々に喚起す百年の眠り)身在閑中不識閑(身は閑中に在つて閑を識らず)朝躋鶴巓夕雲開(朝(あした)に鶴巓(かくてん)を躋(こ)え夕(ゆふべ)に雲開く)瓠壺之腹縦摸筆(瓠壺(ここ)の腹に縦(ほしいまま)に筆を摸(さぐ)り)収拾五十四郡山(収拾す五十四郡の山)打見たところでは一律のようになっているが...
中里介山 「大菩薩峠」
...不識(しらず)に温和に愛し合ふもう長年の習慣だ...
中原中也 「在りし日の歌」
...親父の五郎には、不識の間に、大切な人生の信条を教えられて、ひそかに、感謝していたが、その息子から、また、教訓をあたえられたのか...
火野葦平 「花と龍」
...Ignorantia juris non excusat.法の不識は免(ゆる)さず...
穂積陳重 「法窓夜話」
...そしてその詩は「何年植向仙壇上、早晩移植到梵家、雖在人間人不識、与君名作紫陽花」(何ンノ年カ植エテ向フ仙壇ノ上(ホト)リ、早晩移シ植エテ梵家ニ到ル、人間ニ在リト雖ドモ人識ラズ、君ガ与(タ)メニ名ヅケテ紫陽花ト作(ナ)ス)である...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...不知不識に本性をあらはしたともいふ可きものに思はれる...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...それが潜在意識となってあの脅迫状の署名に不知不識(しらずしらず)に音羽組なんて茶番をやったのだよ...
山下利三郎 「誘拐者」
...売卜(ばいぼく)者の尾崎不識斎なる者の宅に集合した...
山本周五郎 「長屋天一坊」
...不識庵様日用修身巻(ふしきあんさまにちようしゅうしんかん)という題簽(だいせん)がついていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...不識庵とは、いうまでもなく、上杉謙信のことである...
吉川英治 「宮本武蔵」
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