...粗雑な不明瞭な重ね写真に過ぎない...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...反対に益々ややこしく不明瞭なものになって行く様に思われるのだ...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...「なるべく近所に客のない部屋へね」老人はフガフガと鼻へ抜ける、不明瞭な声で、ぶっきら棒にいって、敷台(しきだい)を上った...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...階下の一室へ通されると、彼は何よりも先に、何度も聞き返さなければならない、不明瞭な言葉で、こんなことをたずねた...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...「本当に、どんなにされても、構わぬというのかね」扉を隔(へだ)てたせいか、ひどく不明瞭な、ボウボウという声が、答えた...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...話は自然須磨に及んで居士はやや不明瞭な言葉で暫く楽しく語り合った...
高浜虚子 「子規居士と余」
...私はこの意味の不明瞭な手品に見入っていた...
谷譲次 「踊る地平線」
...それが、不明瞭な発音で、自分だけに分ればよいと云う気持で云われるのであるから、一度や二度ではなか/\聞き取りにくいのであるが、ちょうど一二年前に彼が畜生塚のほとりへ小屋を造って住み出してから、長い間常に同じことを云っているので、いろ/\な人がその文句を聞いた上でたしかめられた...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...明晰に認識せられるものを不明瞭なものから區別することに慣れるやうに...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...しかしごく緩慢な周期をもって意識の明瞭なときと不明瞭なときが交互にくるのを自分でも気がついてる様子だった...
中勘助 「妹の死」
...電話で話しをするくらいの程度――もしくはこれよりも少しく不明瞭な程度である...
夏目漱石 「坑夫」
...頭脳(づのう)の不明瞭な所から...
夏目漱石 「それから」
...写真は茫として不明瞭な印象だつた...
原民喜 「二つの死」
...再三再四意味不明瞭な嘆声をあげていたが...
久生十蘭 「魔都」
...全く重要ではなく不明瞭な言葉を度々使用した後でも...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...不明瞭なのでアイダには意味が分らない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...何か言語不明瞭なのが多いのがこの為ではないかと思う...
宮城道雄 「音の世界に生きる」
...」千鶴子は矢代と幸子との間にあった昨夜の不明瞭な喰い違いの様子も敏感に察したらしく...
横光利一 「旅愁」
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