...――さう言へば巽斎は不思議にも蒹葭堂主人と号してゐた!しかし棘(とげ)のない薔薇はあつても...
芥川龍之介 「僻見」
...見たくもあれば不思議にも思ったが...
田中貢太郎 「山寺の怪」
...あの名状すべからざる大混雑の中から不思議にもけがひとつせずににげだしたのであった...
モーリス・ルヴェル 田中早苗訳 「或る精神異常者」
...始めて不思議にも生死交徹(こうてつ)相転換してその相入相即が実証せられるのである...
田辺元 「メメント モリ」
...不思議にも小畠には...
田山録弥 「波の音」
...不思議にも三たびまでもこれまでに経験したることなき稍(やゝ)手答へある一種稀有の光明に接したるなり...
綱島梁川 「予が見神の実験」
...不思議にも役割が変わってしまったかのようだった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...余は不思議にもありてかひなき命を取り留めたり...
断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 「断腸亭日乗」
...今日は不思議にも二の句をついで何とも言い張りません...
中里介山 「大菩薩峠」
...不思議にもその鼓動の音が...
夏目漱石 「こころ」
...不思議にも心の苦痛やなやみは一歩づつ後もどりをしてゆきます...
水野仙子 「響」
...不思議にも熊はたふれずに...
宮原晃一郎 「熊捕り競争」
...海辺の五時夕暮が 静かに迫る海辺の 五時白木の 質素な窓わくが室内に燦く電燈とかわたれの銀色に隈どられて不思議にも繊細な直線に見える...
宮本百合子 「海辺小曲(一九二三年二月――)」
...不思議にも紀尾井町のお父(とう)樣が最初に判斷した...
森鴎外 「半日」
...不思議にも形に醜いものはない...
柳宗悦 「陸中雑記」
...不思議にも吾々と縁の濃い中村技師であつた...
柳宗悦 「和紙十年」
...不思議にも今まで...
夢野久作 「暗黒公使」
...ここで名状し難い臭気は不思議にももう一つの負けず劣らず嫌らしい臭いと混ざっていた――どんな性質のものか推測することはできなかったが...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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