...鼠色の唐艸(からくさ)や十六菊(ぎく)の中に朱の印を押した十円札は不思議にも美しい紙幣である...
芥川龍之介 「十円札」
...不思議にも腹が立たないで...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...今日は不思議にも平生の様に反抗とか犠牲とかいう念は起こらずに...
田山花袋 「一兵卒」
...白昼帝都のまん中で衆人環視の中に行なわれた殺人事件は不思議にも司直の追求を受けずまた市人の何人(なんぴと)もこれをとがむることなしにそのままに忘却の闇(やみ)に葬られてしまった...
寺田寅彦 「火事教育」
...突然不思議にも瞬間的に心に感じるのであった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...不思議にも別段恐ろしいと思う念は起らなかった...
豊島与志雄 「或る女の手記」
...不思議にも一つに集まってくるのである...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...そして不思議にも...
豊島与志雄 「白塔の歌」
...明日は不思議にも常にその目的とするところに達する...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...この男が文学をやるのは一体どういう心算なのだろうと不思議にも...
豊田三郎 「リラの手紙」
...不思議にも何の爆發の兆も無く...
長岡半太郎 「ノーベル小傳とノーベル賞」
...その茫然のうちには不思議にも今までかつて見た事のない「憐(あわ)れ」が一面に浮いている...
夏目漱石 「草枕」
...別段不思議にも思わなかった...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...不思議にも熊はたふれずに...
宮原晃一郎 「熊捕り競争」
...運命の車輪は不思議にも廻転しました...
柳宗悦 「民藝四十年」
...翌六月朔日不思議にも雪一重降って川岸の松の葉が白かった...
柳田国男 「年中行事覚書」
...不思議にも狭いと思った牢屋は大変に広くて...
夢野久作 「オシャベリ姫」
...不思議にも込上(こみあが)るような微笑を感じて来た...
蘭郁二郎 「腐った蜉蝣」
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