...黒い髯で通る○○は露助然たる駱駝帽を被って薄荷パイプを横啣(よこぐわ)えの外套の衣兜(かくし)に両手を突込みの不得要領な顔をしていた...
内田魯庵 「灰燼十万巻」
...苦々しそうな薄笑いを浮べて気味の悪いほど不得要領な顔つきをしている自分の顔が鏡を見るようにはっきりと自分の目の前に見えた...
相馬泰三 「六月」
...しどろもどろの不得要領なる事を言ひながらリユツクサツクを背負ひ...
太宰治 「津軽」
...おかみさんの不得要領な哀訴嘆願で誤魔化(ごまか)されて...
谷譲次 「踊る地平線」
...』何だか不得要領なことを云つて歸つて了つた...
徳田秋聲 「媒介者」
...不得要領な手紙が来たのである...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...「あまり不得要領なものだから...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...結局不得要領な談判で...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...このくらい不得要領な組合もなかったものです...
中里介山 「大菩薩峠」
...だから乱暴をしてはいけねえ」この不得要領な貧窮組は...
中里介山 「大菩薩峠」
...その不得要領なことはいつまでたっても不得要領で...
中里介山 「大菩薩峠」
...貧民の御機嫌を取ろうとしてみた狼狽(あわ)て方はかなり不得要領なものでありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...不得要領はいよいよ不得要領な狼狽て方であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...前の時は不得要領な貧民どもが寄り集まって...
中里介山 「大菩薩峠」
...間もなく八五郎は不得要領な顏をして戻つて來ました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...懐手をしたまま不得要領な顔をしていたが...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...不得要領な声を出しておいて...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...石田氏は、不得要領な顔で、うっそりと口髭を撫でていたが、「さて」と曖昧なことをいいながら、自分の布団を担いで、南側の洋館のある一郭のほうへ出て行った...
久生十蘭 「我が家の楽園」
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