...二人はまた其事を語つてゐたが、お八重が不図、五尺の床の間にかけてある、縁日物の七福神の掛物を指して、『あれア何だか知(おべ)だすか?』『恵比須大黒だべす...
石川啄木 「天鵞絨」
...不図(ふと)それに気がついて...
海野十三 「軍用鼠」
...その後父は不図(ふと)心変りがして船を下り...
海野十三 「三人の双生児」
...不図(ふと)、芳子は、「お父様、家では皆な変ることは御座いません?」「うむ、皆な達者じゃ」「母さんも……」「うむ、今度も私が忙しいけえナ、母に来て貰うように言うてじゃったが、矢張、私の方が好いじゃろうと思って……」「兄さんも御達者?」「うむ、あれもこの頃は少し落附いている」かれこれする中に、午飯(ひるめし)の膳が出た...
田山花袋 「蒲団」
...不図、田中氏は二十年前のことを憶ひ出した...
原民喜 「蠅」
...年は十六なれども不図(ふと)見る処(ところ)は一か二か...
樋口一葉 「わかれ道」
...父親は不図感染した風邪(ふうじゃ)から余病を引出し...
二葉亭四迷 「浮雲」
...不図眼を醒すと美奈子からの手紙が目についた...
牧野信一 「階段」
...不図喉のあたりがグウツといふ音をたてゝ塞がつて来たので...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...不図私が振り返ると...
牧野信一 「塚越の話」
...不図はぢめて出遇つても...
牧野信一 「月あかり」
...で、その一場面に就いてだけのことなのであるが、僕は、外国にゐる友達に宛てゝ、そのやうな芝居を見ながら、自分は不図、君が近々帰朝して僕等は相見るであらうが自分の身の上には何の変つたこともない――おそらく君の上も、外国へ行つて来たといふ以外には何の変つたこともないであらう...
牧野信一 「なつかしき挿話」
...」樽野は斯ういふ声を耳にしたので不図眼を醒して見ると...
牧野信一 「円卓子での話」
...不図窓の下に笛の音を聞いた...
牧野信一 「緑の軍港」
...不図気づくと私のこの窓から遥かの空...
牧野信一 「山の見える窓にて」
...じゃ分らないじゃないですか」「…………」不図見ると...
宮本百合子 「刻々」
...不図思いついて狭い濡縁(ぬれえん)の左の端れまで出てみたら...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...記者は不図(ふと)妙な事に気が付いた...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
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