...鍛冶屋はムツとしたのでせうがそれでも下手に出て...
伊藤野枝 「火つけ彦七」
...下手に洗濯をしてしまつて布は大へん損なはれてゐたが...
今井邦子 「伊那紀行」
...下手に行けば、明朝(みょうちょう)といわず、今夜のうちに僕たちの呼吸(いき)の根は止ってしまうことだろう...
海野十三 「人造人間殺害事件」
...絵も下手にちがいない...
太宰治 「人間失格」
...いつか私はほんとうに話下手になり...
谷崎潤一郎 「客ぎらい」
...――くだらぬ批評に対して下手に泥仕合などをする代りに...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...いや下手に腹などが出来られては危険でしようがない...
戸坂潤 「社会時評」
...車掌がおとなしく下手に出とるのに...
豊島与志雄 「電車停留場」
...久光には、軽輩共を、押えることができまいが、斉興なら――」「久光公は、斉彬公の真似が、上手だから、押えることができんのみか、却って、下手に、軽輩に、利用されるだろう」「然し、もう、老公も、いいお齢だから、ここ暫くの間に、ばたばたと、押えつけてしまわぬと――」「そうは行くまい...
直木三十五 「南国太平記」
...糸蝋のフラフラ歩み行くのは宮川川原を下手に下るので...
中里介山 「大菩薩峠」
...檻の天井には百貫目以上の石を吊ってあるから、この綱を切れば待てしばしはねえ、――どっこい動くな、下手に動くと、今眼の前でこの綱を切るぞ」振り冠ったのは小道具物ながら真刃(ほんば)の一刀、梁(はり)から斜めに走る太綱を睨(にら)んで、今にも振り下ろそうとします...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...下手に駕籠を跟ける者があれば...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――下手に十手なんか突っ張らせて行くと...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お願いだからもう一度調べ直してくれ」平次はもう一度下手に出る気になったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...下手に病気でもされたらえらいことになるから...
久生十蘭 「ノア」
...三人とも下手に走っていき退場する...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...総じてその地方の俳句会盛(さかん)なる時はその会員の句皆面白く俳句会衰ふる時はあるだけの会員悉(ことごと)く下手になる事不思議なるほどなり...
正岡子規 「墨汁一滴」
...お里がびびびびびいといひて引つ込むに呆れて「お兄いさんをつかまへてびゝゝゝゝい」と口真似なし、茶を注ぎて飲み、煙草盆をもち来て、舞台下手に坐り、着物の裾を両足の間に挿(はさ)み込み、煙草を吸ひ居る...
三木竹二 「いがみの権太」
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