...上滑りをして通る――中心の問題に注意の焦點を集中するために...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...併し同時に僕はこれあればこそ世間並に上滑りして通る事から救はれてゐるのだとも思ふ...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...はげしいいきおいで水上滑走(かっそう)をする...
海野十三 「恐龍艇の冒険」
...実質は無味乾燥で上滑りがしていて...
豊島与志雄 「野に声なし」
...上滑(うわすべ)りな円滑を主位に置く社交とは全く別物なのです...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...これを一言にして云えば現代日本の開化は皮相上滑(うわすべ)りの開化であると云う事に帰着するのである...
夏目漱石 「現代日本の開化」
...あるいは大部分はいくら己惚(うぬぼ)れてみても上滑(うわすべ)りと評するより致し方がない...
夏目漱石 「現代日本の開化」
...涙を呑(の)んで上滑りに滑って行かなければならないと云うのです...
夏目漱石 「現代日本の開化」
...今の日本の社会は――ことによったら西洋もそうかも知れないけれども――皆(みん)な上滑(うわすべ)りの御上手ものだけが存在し得るように出来上がっているんだから仕方がない」兄はこう云ってしばらく沈黙の裡(うち)に頭を埋(うず)めていた...
夏目漱石 「行人」
...只(たゞ)其上(そのうへ)を上滑(うはすべ)りに滑(すべ)つて行く丈で...
夏目漱石 「それから」
...ただその上を上滑りに滑って行くだけで...
夏目漱石 「それから」
...上滑(うわすべ)りにならなければ必ず神経衰弱に陥(おち)いるにきまっているという理由を...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...上滑(うわすべ)りなところがなかったのである...
野村胡堂 「楽聖物語」
...ブラームスには上滑(うわすべ)りな情熱もなく...
野村胡堂 「楽聖物語」
...六郷左京は上滑りな美に追われて...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...上滑りな生活ばかりしてゐるうちに...
牧野信一 「妄想患者」
...真面目になればなる程私の心は上滑りをするのが癖だつた...
牧野信一 「妄想患者」
...それは決して上滑りをしたものではありません...
宮本百合子 「獄中への手紙」
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