...こなたの卓子に、我が同胞のしかく巧みに外国語を操るのを、嬉しそうに、且つ頼母(たのも)しそうに、熟(じっ)と見ながら、時々思出したように、隣の椅子の上に愛らしく乗(のっ)かかった、かすりで揃の、袷(あわせ)と筒袖の羽織を着せた、四ツばかりの男の児(こ)に、極めて上手な、肉叉(フォーク)と小刀(ナイフ)の扱い振(ぶり)で、肉(チキン)を切って皿へ取分けてやる、盛装した貴婦人があった...
泉鏡花 「婦系図」
...上手などとは行過ぎじゃぞよ...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...御詠歌の上手な同窓生の一人が『普陀落や岸うつ波』と茶碗を箸で叩いて唄ふと...
高濱虚子 「俳諧師」
...なかなか、どうして、上手なものです...
太宰治 「津軽」
...グスウスキーバレー団は年を取った上手な弟子達から成り立っていまして...
谷崎潤一郎 「細雪」
...なるほどそれなら鴨緑江節の上手なことも...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...………床屋へ行っても上手な職人は触りゃしないわ」「床屋の職人と一緒にされちゃあ遣(や)り切れないな」「生意気云ってらあ...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...ドストイエフスキーにして文章が上手ならば...
田山録弥 「尾崎紅葉とその作品」
...「上手な弁護士にかかったらそれくらいのことは難なく論破されてしまうでしょうね...
コナンドイル Conan Doyle 三上於莵吉訳 「白銀の失踪」
...もう少し上手なものの云い方を心得ているという差異はある...
戸坂潤 「社会時評」
...相吾(さまご)の与次郎という法外鉄砲をブツことの上手なかりうどがあった...
中里介山 「大菩薩峠」
...着物の着こなしの上手な...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...木登りの上手な子供でなければ登ることができない...
浜本浩 「甘い野辺」
...泳ぎは上手なほうよ」たれも相手になってくれない...
久生十蘭 「あなたも私も」
...四葉の苜蓿を搜すことの上手な少女を昔知つてゐたつけが……...
堀辰雄 「四葉の苜蓿」
...確に彼女は時間の上手なやりくりや家事の単純化を実行するでしょう...
宮本百合子 「現実の道」
...こういうところは案外お上手なの...
横光利一 「旅愁」
...処世には上手な人であったように思われない...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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