...しかし矢野が幾多の不安をいだいて上京するに至ったのは深き家庭の事情に原因していることもちろんだ...
伊藤左千夫 「廃める」
...そのような訳で自分の体でありながら極度の疲労を来たしている自分の体を劬(いたわ)ってやる暇もなく私は上京するとホテルに一夜をあかした...
上村松園 「健康と仕事」
...殊に細君の上京する迄何よりの頼みは春三郎夫婦であつた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...妙子が今度どう云う目的で上京するかと云う大体の輪郭を云ってやって...
谷崎潤一郎 「細雪」
...上京する一家族の希望に満ちた有様とは比ぶべくもなかつた...
田山花袋 「朝」
...上京するべく今は一瞬間も失ってはならないというのだ...
コナン・ドイル 新青年編輯局訳 「臨時急行列車の紛失」
...秋本が見舞いがてら上京するということを聴(き)いた...
徳田秋声 「仮装人物」
...近々伯父が上京する由まで書き添えてあった...
豊島与志雄 「蘇生」
...なんでも京都へいつてる姉様がこの夏上京するとかいつてたからひよつとしたらその人かもしれない...
中勘助 「銀の匙」
...かつまた上京するときの目的がはなはだ明らかならぬゆえ...
新渡戸稲造 「自警録」
...何某(なにがし)は此月末(つきずえ)に上京するという話も聞く...
二葉亭四迷 「平凡」
...――僕はどうもこんなジャケット姿ですごすご上京するのも癪ですから...
堀辰雄 「七つの手紙」
...それが終り次第上京するからと返事しておいたが...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...どうしても上京するつうてきかねえから...
三好十郎 「樹氷」
...伊織が七五郎の代人として石見守に附いて上京することになつた...
森鴎外 「ぢいさんばあさん」
...友だちに勧められて上京することに決心した...
矢田津世子 「鴻ノ巣女房」
...予の始めて上京するや偶(たま/\)銀座の街を歩し書肆(しよし)に於て一冊を得たり...
山路愛山 「北村透谷君」
...恰も地方から上京する青年処女の純真な志が...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
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