...その間に、一方では老中(ろうじゅう)若年寄衆へこの急変を届けた上で、万一のために、玄関先から大手まで、厳しく門々を打たせてしまった...
芥川龍之介 「忠義」
...万一のために、靴下(くつした)もはいでみた...
ソログーブ・フョードル 米川正夫訳 「身体検査」
...ただ万一のために保証金を出しておくつもりだ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...「余人を、一人たりとも上げないように――人数を三段に配置して、二人は根本中堂の上に、四人は中堂と此処の途中に、その他の人は、此処にいて、万一のために、四方を戒めていてもらいたい...
直木三十五 「南国太平記」
...その読む時間を遠慮して、七兵衛は差出ることをしないでいたが、駒井は、さほど長くもあらぬ矢文をスラスラと読んでしまっても、別段、変った色なく、さっと、机の上へ投げ出したのをきっかけに、七兵衛が、「おだてる奴があるものでございますから、御油断はなりません、万一のために、明日はひとつ、お船の方から人を呼んで、この御番所のまわりに、厳重な柵をお作りになってはいかがかと存じます、わたくしもお手伝いをいたしますから」「用心にしくはないが、まあ、そうするまでには及ぶまい」「しかし、うまくおだてられているんでございますから、調子によっては、何をしでかさないものでもございません...
中里介山 「大菩薩峠」
...万一のためにどなたかひとりお差立てねがい...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...万一のために武器を用意した...
久生十蘭 「海豹島」
...それでも万一のために乾飯(ほしいい)を腰につけ...
本庄陸男 「石狩川」
...万一のために保存されていたコピイによる...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...蜀を立つ時から万一のためその備えはして来ておるから...
吉川英治 「三国志」
...兄は洞院殿をお送り申しあげ、ほかの武者も、今宵のみは、万一のため、それぞれのお館まで、お供してまいりました」「……で、其許(そこもと)もまろの警固について来てくれたのか」「は、兄のいいつけにて」「要らぬことだ...
吉川英治 「私本太平記」
...ここにてお待ち下さいませぬか」「お身はどこへ?」「万一のため...
吉川英治 「私本太平記」
...万一のため、市の附近に、あちこち立っていた御小人(おこびと)たちも集まると、かなりな人数になり、縄目の法師四人を、列の後(しりえ)につれて、やがて稲葉山の城門へかくれて行った...
吉川英治 「新書太閤記」
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